フェルスタッペン、実は敗戦の危機が迫っていた? レッドブル代表「アロンソがドライタイヤに換えてくれて助かった」

 

 2023年のF1モナコGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、2番手を走っていたアストンマーチンのフェルナンド・アロンソがレース終盤に雨が降った際にドライタイヤに履き替えるというギャンブル的戦略に出るまで、厳しい状況に置かれていたようだ。チーム代表のクリスチャン・ホーナーが明かした。
 フェルスタッペンはポールポジションからスタートし、レース序盤からアロンソとの一騎打ちになった。しかしその後は徐々にリードを拡大していく展開となった。
 ただフェルスタッペンはミディアムタイヤでのスタート。一方のアロンソはハードタイヤを履いていた。当然、フェルスタッペンはアロンソよりも先にピットストップすることが予想されていたが、フェルスタッペンにとって辛いのは、雨雲が近づいていたことだ。
 もしフェルスタッペンがミディアムタイヤからハードタイヤに履き替えた後、アロンソがピットストップする前に雨が降り始めてしまえば、フェルスタッペンがピットストップ1回分のロスタイムを失うこととなり、アロンソに先行されてしまう。そのため、雨の状況が確実になるまで、ステイアウトしなければいけなかった。しかしフェルスタッペンは、徐々にミディアムタイヤの性能劣化に苦しみ出した。
 やがて雨が降り始め、雨足は徐々に強まっていき、後続のマシンから続々とインターミディエイトタイヤを履くためにピットインしていく。そして上位2台のうち、先にピットストップしたのはアロンソの方で、55周目のことだった。
 ただアロンソがここで選んだのは、ドライのミディアムタイヤ。雨が強まらない方に賭けたのだ。しかし雨脚は強まり、フェルスタッペンは56周目にピットに戻り、インターミディエイトタイヤに交換。首位を守った。アロンソはインターミディエイトに履き替えるためにもう1回ピットストップしなければならなかった。
 ホーナー代表曰く、フェルスタッペンのピットストップは理想よりも1周遅かったが、アロンソがミディアムタイヤを履いたことで、安堵することができたという。
「今回、我々は危うい状況だったと思う」
 ホーナー代表はSkyF1のインタビューにそう語った。
「今季前半最大の難関になるだろうことは分かっていた。低速のコース特性が、彼ら(アストンマーチン)の強みを引き出したんだ。ただ、実はフェラーリが最大の脅威になると考えていたんだ。しかし、フェルナンドはこの週末、ずっと燃え続けていた。つまり、信じられなかったんだ」
「レッドシグナルが点灯した瞬間から、我々はずっと緊張していた。タイヤウォーマーが外れた時、かなりの数のドライバーがハードタイヤを履いているのが見えた。でも周辺ではもう雨が降っていた。十分に差をつけることができれば、ミディアムの性能が劣化してもポジションを守れるか……そんなことを考えていたんだ」
「インターミディエイトに換えるのが、少し遅かったかもしれないとも感じた。もしフェルナンドがインターミディエイトを選んでいたら、もっと僅差の戦いになって、ピットストップで大きなプレッシャーがかかっただろう」
「しかしありがたいことに、彼は雨が降ってきたその瞬間だったにも関わらず、スリックタイヤを選んでくれた。その時点で『マックスにリスクを負わせず、ただピットへとマシンを運ぶように』ということを話していた」
「彼らがミディアムタイヤを履いたことに、本当に驚いた。おかげで我々は、完全に危機から解放されたんだ」
 ホーナー代表は、フェルスタッペンと、彼のレースエンジニアを長年務めているジャンピエロ・ランビアーゼがお互いに理解し合ってることを賞賛した。
「ふたりの間には、強い信頼関係がある。そしてそのエンジニアとドライバーの関係は、とても独特なモノなんだ」
 そうホーナー代表は語った。
「ふたりの間には、率直かつ正直に話せるという絆がなければならない。ドライバーの感情をコントロールしつつ情報を与える。彼らの間には、信頼関係がある。それは、彼らふたりの会話で、何度も聞かされてきたことだ」
「首位を走っている時には、失うことしかない。得るモノは何もないんだ。そして、コンディションに合わせて努力することしかできないんだ」
 
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