【F1第9戦無線レビュー(2)】通算41勝目のフェルスタッペン。レッドブルの節目も飾る「チーム100勝目、最高だ」
2023年F1第9戦カナダGP。先頭のマックス・フェルスタッペンを追うフェルナンド・アロンソだったが、ブレーキに問題を抱えていることが明らかになり、3番手ルイス・ハミルトンがそのアロンソを狙っていた。そして後方では、アレクサンダー・アルボンがライバルからポジションを守り、ウイリアムズでのベストリザルトをものにしようと奮闘。カナダGP後半を無線とともに振り返る。
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50周目を過ぎて、ジョージ・ラッセル(メルセデス)のマシンにブレーキトラブルが発生した。しかし8番手を走っていたラッセルにしてみれば、なんとか完走したいところだ。
55周目
マーカス・ダドリー:リタイアしないといけない。左フロントブレーキの摩耗が酷い
ラッセル:どうしたらいいか、言ってくれ
ダドリー:できるだけ冷やして、ピットまでクルマを持ち帰ってくれ
55周目にピットまで辿り着いたラッセルは、そのままリタイアとなった。
ラッセル:みんな本当に申し訳ない。それ以上、何も言うことはない。ごめんね
自分のミスによるクラッシュでリタイアを引き起こしたことが、ラッセルには無念でならないのだろう。
レース終盤、首位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)の差は、8秒以上に広がった。アロンソを追うルイス・ハミルトン(メルセデス)に、チームからこんな無線が飛んだ。
61周目
ピーター・ボニントン(→ハミルトン):アロンソは、リヤブレーキに問題を抱えてるようだ
しかしアロンソは、2番手死守を決意する。
63周目
クリス・クローニン:ハミルトンは1秒9後方だ
アロンソ:任せてくれ
渾身の走りでハミルトンをジリジリと引き離し、最終的に4秒6差でチェッカーを受けた。
アロンソとの差が広がり、直接的な脅威は去ったフェルスタッペン。しかしターン8の縁石に乗り過ぎて、大きく挙動を乱す。
66周目
フェルスタッペン:縁石で行っちゃうところだった、ハハハ
後方ではアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、エステバン・オコン(アルピーヌ)、ランド・ノリス(マクラーレン)による7番手争いが繰り広げられていた。
67周目
ノリス:アルピーヌのリヤウイングがグラついてる。いつ脱落してもおかしくない。すごく危ないぞ。誰かに当たったら、大変だ
結果的に最悪の事態は起きず、アルピーヌはレース後に「脱落の危険はなかった」と、コメントしていた。
68周目
ノリス:ペナルティの理由は何だったの?
ウィル・ジョゼフ:あとで話そう
ノリス:今、言ってほしいんだけど
ジョゼフ:いや、あとにしよう
この時点で9番手だったノリスは、5秒加算で入賞圏外に落ちてしまうことは明らか。それもあって、なぜペナルティを科されなければならなかったのか、知りたかったのだろう。
69周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ:チェコが最速ラップを取りに行く
フェルスタッペン:全然気にしないよ
6番手のセルジオ・ペレス(レッドブル)が、チェッカー2周前の68周目にフリーストップで2度目のピットイン。ソフトタイヤに履き替えて最速タイムを叩き出した。シーズン序盤だったらまだしも、選手権独走状態の今は余裕でこの行為を許していた。
チェッカー後
フェルスタッペン:チーム100勝目、最高だ
ランビアーゼ:君が数字にこだわらないのは知ってるけど、これが41勝目だ。何を意味するか、わかってるよね?
フェルスタッペン:ああ。これで終わりじゃないといいね。ハハハ
クリスチャン・ホーナー代表:今日の100勝は、エイドリアン(・ニューウェイ)の200勝でもあるんだ。表彰台には、彼に上がってもらう。君も早く追いついてくれ
フェルスタッペン:ハハハ、それはまだ長い話だね
クローニン:いろいろ労わりながらのレースになってしまった
アロンソ:わかってる。何も言うことはないよ。全力を尽くしてくれたし。ピットストップも素晴らしかった
アルボン:イエ〜ス!!
アーウィン:P7だ! 素晴らしい仕事だったぞ
アルボン:やったぞ!
アーウィン:最高のディフェンスだった! あれを30周続けたんだから
ジェームズ・ボウルズ代表:本当に素晴らしいディフェンスだった
マッティア・スピニ:P14だ
角田裕毅:ジョシュ、この3年間、本当にありがとう。フェラーリでの幸運を祈ってるよ。バイバイ
ジョシュとは、チームで主にSNSでの発信を担当していたジョシュ・クルーゼで、カナダを最後にフェラーリに移る。レース週末には常にふたりのドライバーに密着し、特に角田とは仲が良かった。
ギャリー・ギャノン:よく最後まで防いでくれた
ヒュルケンベルグ:僕らに残されたのは、それだけだったんだね
ギャノン:まあ、そういうことだ。でもいい仕事だったぞ
2番グリッド獲得という大仕事を果たしたニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)だったが、ハースの今の戦闘力では上位入賞が難しいことは、レース前から本人もわかっていた。それでも15位完走という結果には、さすがに無念そうだった。
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