【F1オーストリアGPスプリントの要点】タイヤ交換にも助けられたヒュルケンベルグ。“いつものパターン”を脱し順位アップ
「3ポイントも獲れるなんて、予想外だった」
「チームも僕も、いい仕事をしたということだ」
スプリントで6位入賞を果たしたニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)。レース後のインタビューでは、いつもの飄々とした雰囲気はそのままに、素直にこの結果を喜んでいた。
今週末のヒュルケンベルグは初日の予選でも8番グリッド獲得と、定評のある一発の速さにさらに磨きがかかっていた。そしてこの日のスプリント・シュートアウトでは、4番グリッドを獲得してみせた。ただし今季のハースは、予選一発ではそこそこの速さを見せるのに、レースになると失速するパターンを繰り返している。
典型的だったのが、前戦カナダGPだ。予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に次ぐ驚異の2番手タイムを記録。赤旗中断中の速度違反で3グリッド降格のペナルティを受けたものの、それでも5番手スタート。よほどのミスでも犯さない限り、ポイント獲得は確実と考えるのが普通だ。
しかしレースでのヒュルケンベルグはずるずると順位を落とし、15位完走に終わる。エンジントラブルなどで、ドライコンディションでの練習走行が十分にできなかったことも痛かったが、チームメイトのケビン・マグヌッセンも17位に終わっていることを見ても、レースペースの遅さが今季のハースの最大の弱点であることは確かだろう。
今回のスプリントも厳しい戦いになることは、ヒュルケンベルグは覚悟していたはずだ。それでもスタート直後には、まずランド・ノリス(マクラーレン)をかわして3番手に上がる。続いてフェルスタッペンとセルジオ・ペレスのチームメイトバトルの間隙を突いて、2番手に浮上。11周にわたってペレスを抑え続けた。
しかし12周目にペレス、13周目にカルロス・サインツ(フェラーリ)に抜かれ、4番手に後退。いつもの失速パターンから、今回も免れないかと思われた。ただこれまでと違ったのは、ちょい濡れ状態で始まった路面がこの頃にはかなり乾き、中団以下のドライバーはタイヤ交換を余儀なくされたことだった。
ヒュルケンベルグも、15周目のジョージ・ラッセル(メルセデス)、16周目のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に次ぐ、17周目のタイミングでピットイン。いったんは12番手まで順位を落とすが、20周目にピエール・ガスリー(アルピーヌ)、23周目にノリス、そして最終周でエステバン・オコン(アルピーヌ)を抜き去って、6位入賞を果たした。さらにこの最終周に、最速タイムも叩き出してみせた。
タイヤに厳しすぎるハースのマシンの弱点が、タイヤ交換に助けられたことが入賞圏内に留まれた最大の要因だったことは確かだ。
しかしヒュルケンベルグでなかったら、はたして6位まで順位を戻せていたかどうか。助っ人の形で今季からハースに入ったヒュルケンベルグだが、35歳のベテランはしっかりとチーム内の地歩を築いている。
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