レッドブルF1首脳がデ・フリースの解雇を説明「夏まで様子を見る必要はないと判断」速さを証明したリカルドに望みを託す
レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、シーズン途中でアルファタウリのニック・デ・フリースを降ろしてダニエル・リカルドを後任に起用すると決定した理由について語り、デ・フリースには改善の兆しが見えず、サマーブレイクまで待つ意味も見いだせなかったと説明した。
7月11日、レッドブルとアルファタウリは、次戦ハンガリーGPから、デ・フリースの代わりに、レッドブルのサードドライバーを務めるリカルドを走らせると発表した。
昨年イタリアGPでウイリアムズのアレクサンダー・アルボンが急病により走れなくなった際に、デ・フリースが急きょ代役を務める形でF1デビューを果たし、9位入賞を成し遂げた。FIA F2とフォーミュラEでチャンピオンとなった実績のあるデ・フリースはさらに評価を上げ、レッドブルは、アルピーヌに移籍するピエール・ガスリーの後任として2023年アルファタウリドライバーにデ・フリースを起用することを決めた。
大きな期待を担ってF1フル参戦をスタートしたデ・フリースだが、マシンのパフォーマンス不足もあり、速さを発揮することができず、さらに毎回チームメイトの角田裕毅に大きく引き離されていることから、シート喪失のうわさがささやかれるようになった。そして第11戦イギリスGP後、デ・フリースが外されることが発表された。
後任に指名されたのは、今年サードドライバーとしてレッドブルに復帰したリカルドで、ピレリのタイヤテストでレッドブルの2023年型マシンRB19を初めて走らせた当日に、レッドブルは彼をアルファタウリに貸し出し、2023年残りのレースで走らせることを確定した。
■「デ・フリースには一切改善が見られなかった」とマルコ
この一連の決定について、マルコはオランダの『De Telegraaf』紙に対して、説明した。
「ニックが昨年モンツァで素晴らしいパフォーマンスを見せたため、我々は彼と契約した」とマルコ。
「我々としては、今年彼は少なくともチームメイトの角田裕毅と同等の成績を収めるものと考えていたが、そうではなかった。彼は常に(角田より)0.3秒遅く、改善が一切見られなかった」
わずか10戦でF1ルーキーの評価を確定してしまうのはフェアではないという声も上がっているが、マルコは、デ・フリースを純粋なルーキーとはみなしておらず、多くの時間を与える必要はないと考えていたと示唆した。
「彼は28歳で、多くの経験を積んでいる。さまざまなF1マシンでテストをして、たくさんの知識を得ることもできた。私の考えでは、彼を若いルーキーと比較することはできない」
「4月末の(アゼルバイジャンGPでの)バクーでは、週末を良い形でスタートした。そのため良いパフォーマンスを見せるだろうと思っていたが、彼はまた(予選Q1で)クラッシュしてしまった」
「残念ながら、彼は我々が驚くようなスーパーラップを一度も見せなかった」
「我々としては何か行動を起こす必要があった。全く改善が見られないのであれば、なぜ待つ必要がある? (サマーブレイクまで)あと2レース待つことに何の意味があるだろうか。ニックはとても楽しい男だが、スピードはなかった」
常に率直な発言をすることで知られるマルコは、デ・フリースが今後F1で走るチャンスはほぼないとの考えを示した。
「(別のF1シートを獲得するのは)難しいと私は思う。同時に、彼はこうなることを予想していたと思っている。彼は耐久レースで良いキャリアを築くことができるのではないだろうか」
■「リカルドがアルファタウリの状況を好転させる助けになるかもしれない」
リカルドの起用については、シルバーストンでのタイヤテストで見せたパフォーマンスがひとつの決め手になったと、マルコは認めた。
「3つの異なるタイヤセットすべてにおいて、彼のラップタイムは競争力の高いものだった。リカルドにスピードがなかったら、我々は他のことを考えなければならなかっただろう」
「アルファタウリは今、良い状態にはなく、コンストラクターズ選手権で最下位だ。変化をもたらすために何かをする必要がある。変化は、ドライバーを交代させた後にしばしば起こる。リカルドはチームに新しいエネルギーをもたらすだろう」
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