ピレリF1、フルウエットタイヤへの批判を受け、1種類の雨天用タイヤ“スーパー・インターミディエイト”導入を提案
ドライバーからF1フルウエットタイヤの性能についての批判が出ているなか、F1タイヤサプライヤーであるピレリは、ウエットコンディション用のタイヤを1種類の“スーパー・インターミディエイト”タイヤに統一する案にポジティブな見解を示した。
ウエットコンディション用のタイヤには、インターミディエイトとフルウエットタイヤの2種類がある。フルウエットは激しい雨が降っている際に適したタイヤで、排水性に優れている。しかしその一方で、性能的に十分ではないという声が、ドライバーたちから上がっている。
現世代のF1マシンでは特に、豪雨の際には水しぶきでドライバーの視界が悪くなることが問題で、レースをすることが困難になり、赤旗でレースが中断されたり、セーフティカー先導による走行に切り替えられる。こうしたコンディションにはフルウエットタイヤが適している。しかし、視界が良くなり、レース可能なコンディションになると、フルウエットよりインターミディエイトが優れたパフォーマンスを発揮する。
今年のベルギーGPのスプリントは、ウエットコンディションのためにセーフティカー先導でスタート、セーフティカーが外れるとすぐさま全車がフルウエットからインターミディエイトに交換し、レースを戦った。
スプリントの後、再びドライバーたちからフルウエットタイヤに対する批判の声が上がった。メルセデスのジョージ・ラッセルは、「エクストリーム(ウエット)は本当に無駄なタイヤだ。インターミディエイトより1周6、7秒遅かった」と語った。
「エクストリームウエットを選ぶ理由はひとつしかない。インターミディエイトではアクアプレーニングが発生するからだ。だから大幅な改善が必要だと思う」
フルウエットタイヤがセーフティカー先導時にしか使われないという現状を受けて、ピレリのモータースポーツボス、マリオ・イゾラは、ウエットタイヤを1種類に絞るという案について、次のように発言した。
「コース上の水量が多い場合は、視界に問題があるため赤旗かセーフティカーを出して、レースをしないようにするというのが現在の考え方だ。それを維持するのであれば、ベストの解決法は、インターミディエイトタイヤの開発を進めることだと私は思う。“スーパー・インターミディエイト”あるいは“インターミディエイト・プラス”などといった名称のタイヤだ」
「それによって、視界の面で許容できる限界からドライコンディションへのクロスオーバーまでを、ひとつの製品でカバーすることができる」
FIAは、激しいウエットコンディションでレースをすることを可能にするため、視界改善を実現する“スプレーガード”の開発を進めている。イゾラは、そのプロジェクトが推進されるなら、現状のまま2種類のウエットタイヤを使用し、現在のインターミディエイトを維持し、フルウエットタイヤの改良に取り組んでいく必要があるとも語っている。
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