【角田裕毅F1第15戦分析】チームへのフィードバックに改善点。失敗に終わったオランダで得た経験を活かせるか
F1第14戦オランダGPのレース中盤、ポイント争いを行っていた角田裕毅(アルファタウリ)。ライバル勢がドライタイヤからドライタイヤに交換するなか、角田とアルファタウリはソフトタイヤでステイアウトする決断を下した。しかし、タイヤ無交換作戦は失敗に終わり、最終的にポイント圏外でレースを終えた。
4日後のイタリア・モンツァでその戦略を選択した理由を問われた角田は、「オランダGPでの僕たちは実力でトップ10に余裕で入ることができるほどのスピードはなかったので、少しギャンブルに出る必要もありました」と語った後、さらにこう続けた。
「金曜日のフリー走行でソフトタイヤのロングランのデータが悪くなかったので、日曜日のレースでソフトタイヤで行くことは決めていました。レースで走っていても、デグラデーション(劣化)が大きい感じはしなかったので、チームからステイアウトの指示が来たときは僕もそれに同意したという感じです」
金曜日のソフトタイヤでのロングランのデータが悪くなかったのに、なぜ日曜日になって、角田はそのソフトタイヤで苦しんだのか? 考えられる理由は、雨だ。金曜日はセッションを通してドライコンディションだったため、ロングランを行ったフリー走行2回目は路面にラバーが乗ってかなりコンディションがよかった。
ところが、ザントフォールトは土曜日と日曜日に雨が降ったため、ラバーが洗い流され、路面コンディションはグリーン(走行前の新しい状態)に戻ってしまった。そのため、レースでの角田のソフトタイヤのデグラデーション(劣化)は金曜日よりも大きくなったというわけだ。
マクラーレンやメルセデスはそのことを考慮して、ドライバーをピットインさせたのに対して、アルファタウリはその判断ができず、角田をステイアウトさせてしまった。レース後、アルファタウリのマシンパフォーマンス責任者を務めるギヨーム・デゾトーも「ステイアウトさせるという賭けが、正しい決断ではなかった」と認めている。
しかし、角田はその言葉を受けてもなお、チームに責任を押し付けるような言動はしていない。むしろ、自分にも責任の一端があると感じている。
「チームへのフィードバックはまだまだ改善しなければならない。オランダGPで得た経験をモンツァに活かしたい」
初日14番手にも、落ち着いて土曜日以降を見据える角田に、チームリーダーの貫禄を感じた。
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