【伝説のモナコGP】チェッカーに辿り着いたの僅か3台のみ……超サバイバルをパニスが制す:1996年
1996年のモナコGPも、ある意味伝説と言えるレースだった。同年はウイリアムズとフェラーリが強さを発揮し、それにベネトン勢が一矢報いるという時代。リジェはそれなりの戦闘力を手にしながらも、優勝候補とは程遠い存在だった。
しかし同一周回での完走台数僅か3台……そんな超サバイバルレースを、リジェ・無限ホンダのオリビエ・パニスが制したのだった。
午前中に降った雨により、スタート時の路面は完全にウエット。しかし雨粒は落ちておらず、徐々にコンディションは改善していくものと見られていた。この時点でパニスは14番手スタート。誰もパニスが優勝するとは思っていなかった。
レースは序盤から波乱の展開。濡れた路面に足を取られてクラッシュしたり、トラブルに見舞われたりして、次々とマシンが脱落していった。
そんな中、路面は徐々に乾いていき、レースも1/3が消化するとほぼドライコンディションに。各車ドライタイヤに交換することとなった。
パニスはピットストップのタイミングでポジションを上げ、コース上でもオーバーテイクし、表彰台圏内に浮上する。そして首位をいくデイモン・ヒル(ウイリアムズ)、2番手を走っていたジャン・アレジ(ベネトン)も揃ってマシントラブルに見舞われてリタイア。これでパニスが労せずして首位に立つ。そして、コースには再び雨が落ちてきた。
パニスはその後も堅実な走行を続けた。後方からはマクラーレンのデビッド・クルサードが迫ったが、パニスはこの追撃を阻止。2時間ルールが適用され75周に短縮されたレースで、トップチェッカーを受けた。
これはF1デビュー3年目のパニスにとってF1初勝利。無限ホンダにとっても1勝目ということになった。
なおこの年、パニスが入賞したのは、このモナコも入れて3回のみ。そういう意味では、大番狂わせの結果だったと言えよう。
なお前述の通り、このレースはアレジもリタイアしている。ただ、もし彼のマシンにサスペンショントラブルが起きなければ、前年のカナダGPに次ぐ2勝目を挙げていたかもしれない。アレジは雨に滅法強かった。
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