雨と赤旗で波乱のモナコをペレスが初制覇。ルクレールはピットストップの不運に泣き4位【決勝レポート/F1第7戦】

 

 2022年第7戦モナコGPの決勝が行われ、レッドブルのセルジオ・ペレスが優勝した。2位はカルロス・サインツ(フェラーリ)、3位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)となっている。アルファタウリの角田裕毅は17位だった。

 降雨の予報が出ていたモナコGP決勝日。各マシンがグリッドに向かうレコノサンスラップの時点では完全ドライ路面だった。ところがスタート15分前に雨粒が落ち始め、すぐに本格的な降りとなった。とはいえこのまま雨が降り続けるのか、路面がどこまで濡れているのか、最適なタイヤは何なのか、レースが始まってみるまで誰にもわからない。

 定石としては浅溝のインターミディエイトタイヤを選ぶところだ。しかしモナコの普通舗装の路面はウエットタイヤではグリップがまったくない反面、乾きかけた状況になるとフルウエットでも意外に持ってしまう。雨が降り続いているのを受けて、スタート5分前に「スタート開始手順の延期」が発表され、最終的にセーフティカー(SC)先導で、午後3時9分からのスタートとなった(その場合、レインタイヤ装着が義務づけられる)。

 ほぼ全車がフルウエットタイヤを装着。角田のみがインターミディエイトを履いている。雨が激しくなったからか、スタートはさらに3時16分まで延期。角田のタイヤもフルウエットに変更された。ウエットでのモナコGPは、2016年以来だ。この年はダニエル・リカルド(当時レッドブル、現マクラーレン)がポール・トゥ・ウイン目前まで行きながら、レッドブルが交換タイヤを準備していなかったという致命的ミスで、ルイス・ハミルトン(メルセデス)に勝利を奪われている。

 午後3時16分、SC先導スタート。2速で走り出しても、リヤタイヤが暴れている。コース上は滝のように雨が流れ出し、4分後に赤旗中断、全車ピットに戻った。グリッド上では、雨よけのテントが設営された。

 雨はほぼ止み、最終的に65分遅れて午後4時5分に再びSC先導で20台がスタートした。スタート方式は、グリッドからではなく、ローリングスタートに決まった。ヘアピンで曲がり切れなかったニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)が、バリアにクラッシュ。ランス・ストロール(アストンマーティン)もマスネコーナーでガードレールに当たり、右フロントタイヤをパンク。いずれもピットに戻って最後尾でコースに復帰した。

 3周目からスタート。ピエール・ガスリー(アルファタウリ)、ラティフィが、インターミディエイトに履き替えた。しかし路面はまだかなり濡れており、ガスリーはマシンコントロールに苦労している。それでも6周目には最速タイムを叩き出した。それを見てミック・シューマッハー(ハース)、角田、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)も、インターミディエイトに履き替えた。

 ガスリーがウエットを履く周冠宇(アルファロメオ)、リカルドを次々に抜いて行く。15周目、「リヤが全然グリップしない」と訴えていたハミルトンがピットイン。インターミディエイトに履き替えて、9番手でコース復帰した。16、17周目に入ったペレス、ランド・ノリス(マクラーレン)も、インターミディエイトを装着。18周目にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)、フェルスタッペンが同時にピットイン。こちらもインターミディエイトだ。上空には晴れ間が見え、路面はみるみる乾いていく。

 20周目にピットインしたリカルドと周は、いずれもハードタイヤに履き替えた。21周目にはサインツもハードに交換。直後にルクレールも、「ボックス!」「ステイアウト!」と指示が錯綜するなか2度目のピットイン。やはりハードに履き替えた。レッドブルも22周目に動き、ペレス、フェルスタッペンが次々にピットイン。ペレスがオーバーカットに成功して首位に立つ。しかしフェルスタッペンはピットで待たされた分が響いたか、サインツに先行できず3番手に留まった。4番手ルクレール。5番手以下ジョージ・ラッセル(メルセデス)、ノリス、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、ハミルトン、エステバン・オコン(アルピーヌ)、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が続く。

 中団勢も全車ハードに履き替え、ガスリー12番手、角田15番手。ケビン・マグヌッセン(ハース)はリタイアを喫し、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は右リヤタイヤをパンクして最後尾に後退した。

 26周目、シューマッハーがプールシケインでスピン、クラッシュ。本人はすぐにマシンを降りたが、マシンはリヤセクションがちぎれるほど大破し、SCが導入された。散乱した破片の処理のため、レースは2度目の赤旗中断。全18台がピットに戻った。

 レース再開は午後5時15分。ローリングスタートと決まった。上位勢のタイヤ選択は別れ、レッドブルはミディアムタイヤ、フェラーリはハードだ。メルセデスもミディアム、アルファタウリはガスリーがハード、角田がミディアムを選択した。

 33周目からレース再開。順位の変動はないが、首位ペレスがミラボーからの下りのブレーキングで、タイヤから派手に白煙を上げた。それでもペースに問題はなさそうだ。2番手サインツが1秒以内の差をキープしているが、ペレスがよほど大きなミスを犯さない限り、抜けそうにない。

 レースは3時間ルールが適用され、64周でチェッカー。ペレスは終盤に1分18秒台までペースが落ちたが、サインツは抜き切れず。ペレスは今季初優勝、そしてモナコ初勝利を果たした。サインツは昨年同様2位、3位フェルスタッペン、ポールシッターのルクレールは悔しい4位に終わった。

 5位ラッセル、6位ノリス、7位アロンソ、8位ハミルトン、オコンは9位でチェッカーを受けたが、ハミルトンへの妨害で5秒ペナルティを受けており12位に後退。ボッタス9位、ベッテル10位。ガスリーは11位、角田は17位だった。

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