FIAが2026年F1パワーユニット規則を承認。次世代PUはネットゼロ、低コストを達成しつつパワーを維持
FIAは8月16日、世界モータースポーツ評議会が2026年F1パワーユニット(PU)レギュレーション(技術、競技、財務規則)を承認したことを発表した。次世代F1パワーユニットに関する新レギュレーションの枠組みが2021年12月に発表された後、規則自体の確定が遅れていたが、ついに承認がなされた。次世代パワーユニットにおいては、100%持続可能な燃料が使用され、電力の割合が引き上げられ、MGU-H(熱エネルギー回生システム)は廃止、コストキャップも導入される。規則の承認を受けて、ポルシェのF1参入が正式に発表されることが予想される。
FIAは「2026年PUレギュレーションは、革新性と持続可能性へのFIAの継続的なコミットメントを強調するものである」と述べている。規則の枠組みの4つの主要な柱として、以下が提示された。
・スペクタクルの維持:
2026年型パワーユニットは、現行の設計と同等の性能を持ち、高出力・高回転のV6内燃機関を使用。バトルの可能性を向上させるため、過度の性能差をつけることは避ける。
・環境上の持続可能性:
2026年型パワーユニットは、電力の利用を50%まで高め、100%持続可能な燃料を使用する。
・財務上の持続可能性:
パワーユニットに関する財務規則により、F1の核である最先端技術を示す場としての役割を維持しながら、競技者の総コストを削減する。
・新しいパワーユニットマニュファクチャラーにとって魅力的なものであること:
このレギュレーションは、新規参入者が競争力のあるレベルでF1に参戦することを可能にし、彼らにとって魅力的なものであることを意図している。
F1公式サイトは、2026年パワーユニットレギュレーションのポイントとして以下を挙げている。
・完全に持続可能な燃料を使用。F1マシンの排気ガスから新たな化石炭素が放出されることはなくなる。
・電気出力が約3倍に。MGU-K(運動エネルギー回生システム)の電気出力が350kWに引き上げられる。
・電気出力の割合が増え、消費燃料が減るものの、1,000馬力以上のパワーを実現。
・安全性の向上。MGU-Kをバッテリーおよびコントロールエレクトロニクスとともにセーフティーセル内に収め、より安全なマシンを実現。
・コスト削減と技術革新の両立。パワーユニットに関するコストキャップを導入するとともに、高価なMGU-Hを廃止、標準化されたコンポーネントを使用する。ダイナモの稼働時間も制限される。一方で、エンジニアが電気システムに関して創造性を発揮することが可能。マシン1台がシーズン中に使用できるパワーユニットは、ICE、ターボチャージャー、エキゾーストユニットは3基、エナジーストア、MGU-Kは2基に制限。
・環境への配慮をより深める。バッテリーやMGU-Kのコバルトなどのリサイクルの義務化。
フォルクスワーゲングループのポルシェとアウディは新パワーユニット規則の導入とともにF1に参戦することを長く検討してきた。今回、レギュレーションが承認されたことで、ポルシェはレッドブルとの提携を正式に発表するものとみられる。アウディは既存チームの買収を検討しているといわれるが、具体的なプランは明らかになっていない。
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