8月に翌年のレギュレーションが変更されるのは遅すぎる? アルピーヌ「上位チームにとっては素晴らしいことだろう」
FIAの世界モータースポーツ評議会(WMSC)は、2023年のF1シーズンに向け、ポーパシングに対処するためのフロアに関するレギュレーションを承認した。ただこのタイミングは、すでに来季マシンの開発がある程度進んでいる時期であるため、その作業に影響を及ぼすことは必至である。
アルピーヌのチーフ・テクニカル・オフィサーであるパット・フライは、このタイミングでのレギュレーション変更が、ビッグチームに有利に働くだろうと語る。
今シーズンのF1は、フロア下でダウンフォースの大部分を発生する、いわゆるグラウンド・エフェクトカーとなったことに伴い、多くのマシンがポーパシングというマシンの上下動に悩まされた。
このポーパシングは、ドライバーに身体的な悪影響が及ぶ可能性があるとして、メルセデスやマクラーレンがレギュレーションを変更することを訴えた。一方でレッドブルやフェラーリは、ポーパシングをうまく制御することができたため、レギュレーションを変更する必要はないと主張し続けた。
この議論は長く続けられてきたが、最終的には8月16日に行なわれたWMSCの会合で、レギュレーション変更が承認されることになった。ただ、当初はフロアの端の高さは25mm引き上げられる予定だったが、反対意見を受け入れる形で最終的には15mm引き上げることで落ち着いた。またこれ以外にも、上下動を監視するためのセンサーを取り付けることも決まった。
これらの変更は、「チームのメカニカル・コンポーネントのデザインへの影響を避ける」形で実施されるとされていた。しかし、2023年用マシンの開発はすでに進んでおり、影響が及ぶことは避けられない。
フライは、この段階でレギュレーションが変更されることは、多くのリソースを割くことができる大規模なチームの”進歩”を助けるだけだと指摘した。
「我々にとってそれは、エンジニアリング面でのリソースの問題だ。我々の空力部門は、上位にいる3チームや、我々と争っている1チームよりも、はるかに小さい。彼らの組織は全て、我々よりも大きいんだ」
そうフライは語った。
「彼らは予算制限を超える20人程度を、セーリングや自転車部門で働かせている可能性がある。そして必要な時には簡単にF1に呼び戻し、問題に対処させてから再び元に戻すこともできるんだ」
「そのレベルの余分なキャパシティがあれば、彼らは大きなアドバンテージを得ることができる。つまり彼らにとっては、レギュレーションの変更が遅れるのは、素晴らしいことだ。彼らは、小さなチームの全てが、今回のことに対処できないということを知っているんだからね」
フライ曰く、アルピーヌは予算制限が導入される前から合理的な規模感であったため、他の大規模チームのように、スタッフの大多数を流出させる必要はなかったという。
大きなチームは、予算制限が導入されるにあたって、スタッフの一部を他のプロジェクトに異動させる必要があった。しかしアルピーヌは、その必要はなかったというのだ。
「我々にとっては少し挑戦的なことだ」
フライはレギュレーション変更が承認される前の段階でそう語っていた。
「変更については、早く知ることができればできるほど良い。レギュレーションが変わるとすれば、僕らが既にやろうとしていたことを台無しにしてしまう」
「いずれにしても、どのチームも来年のマシンのコンセプトのため、風洞実験を既に数週間にわたって行なっていると思う。我々は確かにそうだ」
「しかし我々が行なってきた作業は、レギュレーションが変わることによって、変更を余儀なくされることになる」
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