F1タイヤ戦争は「議論されていない」とドメニカリCEO。一方で将来のコスト管理次第では復活の可能性を否定せず

 

 F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリは、F1は2025年から2027年のタイヤ供給契約を2社のマニュファクチャラーに分けることは考えていないが、コスト削減が達成されるのであれば、将来的にそのシナリオが実現する可能性もあると述べている。

 FIAとF1は今週、ピレリが2027年末までグランプリレースの独占タイヤサプライヤーとして留まることを発表した。2011年以来F1と提携しているピレリは、技術、財政、持続可能性において厳しい要件がある入札手続きで、唯一の競争相手だったブリヂストンを破った。

 ドメニカリは、F1がピレリとの協業を延長する選択をした理由について詳しく述べた。

「いつものように、誰かが選択を下さなければならない。もちろんすべてのパラメータはFIAの技術面に絶対的に関連しているし、一方で我々はビジネスの部分に取り組む義務がある」

「ブリヂストンには感謝しなければならない。彼らはプロセスの開始段階にいて、F1が他のマニュファクチャラーも参入する可能性のあるプラットフォームであることを示してくれたからだ」

「決定に関しては、進めるのが正しいことだと感じた。将来的には多くの技術的課題もあるが、多くのビジネスチャンスもあり、我々が下したこの選択はF1にとって最善であると信じている」

F1世界選手権に2027年までワンメイクタイヤを供給することになったピレリ
F1世界選手権に2027年までワンメイクタイヤを供給することになったピレリ

 過去にはしばしばタイヤ戦争がF1を席巻したものだった。1980年代には性能とコストが上昇するなか、グッドイヤーとミシュランが争ったのは有名な話だ。F1は最終的にサプライヤーに関するオープンポリシーを、コストの上昇を緩和する方向へはっきりと切り替えた。それだけでなく、各チームがタイヤパートナーと緊密なコラボレーションを行う可能性もあるなかで、競争の場を平等にする必要もあった。

 F1は将来のある時点で複数のタイヤサプライヤーを検討する可能性はあるのだろうか?

「ご存知のとおり、F1のエコシステムのコストを確実にコントロールできるよう、この件ではFIAと協力して取り組みを行ったと思う」とドメニカリは説明した。

「それがタイヤ競争から移行した理由だ。我々は多くのテスト、多くの走行、多くの研究を行った。それは有益なことではあったが、コストは膨大になった。それがその方向性から新しい状況へと移行した理由だ」

「これが将来の見通しだと考えるのは時期尚早だ。しかしコスト管理が非常に重要である実際の状況を考えると、決定していないのは確かだが将来の可能性を見るためにいまだ議題に残っていると言える」

「しかしこれは関連性のある点だ。将来我々がコストのさまざまなメカニズムをコントロールできるとしたらどうだろう? しかし今のところは、FIAや各チームとの議題になっていないし議論もされていない」

ステファノ・ドメニカリCEO
ステファノ・ドメニカリCEO

 ピレリとF1の最新の契約は、2025年から2027年の3年間をカバーするのみだ。しかしながら契約には、FIAとF1が2028年まで提携を延長するオプションが含まれている。ピレリとの供給契約延長へとつながる基準について尋ねられたドメニカリは、次のように語った。

「この点で合意にいたったわけだが、対処の仕方についてはFIAとすぐに協議するつもりだ。この合意は、もちろんすべての利害関係者にとって重要かつ関連のあることだからだ」

「これは我々が今後数カ月にわたって取り組んでいく次のポイントだ」

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