6台リタイアの大波乱レース。ペレスがルクレールを抑えきり優勝、フェルスタッペンは7位【決勝レポート/F1第17戦】
2022年F1第17戦シンガポールGPの決勝が行われ、セルジオ・ペレス(レッドブル)が優勝した。2位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位はカルロス・サインツ(フェラーリ)となっている。角田裕毅(アルファタウリ)はリタイアだった。
土曜日に続き、シンガポールは決勝レース当日も大雨に見舞われた。現地時間午後8時に予定されていたレースは、最終的に65分遅れの午後9時5分スタートとなった。まもなく雨は止んだが、路面は完全にフルウエット。そこからレースに向けて徐々に路面は乾いていき、コンディションとしては前日の予選開始時に似ている。
予選11番手に終わったジョージ・ラッセル(メルセデス)は、パワーユニットのフル交換を選択。パルクフェルメ中の交換作業だったことから、ピットレーンスタートになった。5番グリッドと健闘したフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は、これがF1史上最多の350戦目のスタートとなる。
スタートタイヤは、全20台が浅溝のインターミディエイトを選択した。ただしピエール・ガスリー(アルファタウリ)、角田は予選で4セットのニュータイヤを使い果たしており、ユーズド(中古)でのスタートだ。
フロントロウのペレスの加速が良く、ルクレールをかわしてホールショットを決めた。ルイス・ハミルトン(メルセデス)はサインツに接触され、4番手に後退。アロンソも6番手に順位を落とした一方で、角田はひとつ順位を上げて9番手に上がった。
そして8番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は完全にスタートを失敗し、12番手まで後退した。しかし3周目までに次々に先行車を抜いて、9番手まで順位を戻した。ペレスは最速ラップを更新しながら、4周目にはルクレールとの差を1秒3まで広げた。その後のふたりは、最速タイムを出し合う展開。完全に膠着状態ながら、3番手サインツはすでに首位ペレスに8秒以上の差をつけられている。
6周目、周冠宇(アルファロメオ)が18番手のニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)を抜こうとして幅寄せされ、接触。周はターン5の立ち上がりでストップ。ラティフィも緊急ピットイン。しかしマシンのダメージが大きく、そのままリタイアとなった。コース上にパーツが散乱したこともあって、8周目からセーフティカー(SC)が導入された。
10周目、レース再開。ペレスは首位を堅持した一方で、フェルスタッペンはセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)をかわして8番手。立て続けにガスリーも抜いて、7番手に上がった。
湿度が84%と高いせいもあって、路面の渇きは明らかに遅い。15周を過ぎても首位ペレスのタイムでも1分59秒台で、ラップタイム的にはまだドライタイヤに交換するタイミングではない。しかしインターは、かなり摩耗してきた。それでも5番手のランド・ノリス(マクラーレン)には、「誰よりも長くインターを持たせろ」と、指示が飛ぶ。
19周目に最速タイムを出したペレスが、ルクレールとの差を2秒1まで広げた。一方7番手フェルスタッペンは、1秒以内まで迫りながらも、アロンソを抜きあぐねている。
20周目、アロンソがターン10手前で、「エンジンだ」と伝えながらコース脇にストップ。バーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。角田は挙動を乱し、アンチストールに入ってしまう間にダニエル・リカルド(マクラーレン)、ミック・シューマッハー(ハース)にかわされ、12番手に後退。そしてラッセルは、ミディアムタイヤに交換するギャンブルに出た。しかし明らかに時期尚早で、ラップタイムはハミルトンより10秒近く遅い。
25周目、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がターン8を曲がりきれずバリアに接触。自力でコース復帰したもののフロントウイングが脱落しており、再びVSCが導入された。アルボンはピットにたどり着いたのち、リタイアとなった。
レースが再開してすぐの27周目、エステバン・オコン(アルピーヌ)が派手に白煙を噴き上げてターン13でストップ。これでアルピーヌは全滅し、3度目のVSC導入となった。2周後の29周目にグリーンフラッグ。フェルスタッペンが盛んに仕掛けるが、依然としてノリスを抜くことはできない。
32周目、ハミルトンがターン7立ち上がりで正面からバリアに接触。すぐにコース復帰し、ノリスとフェルスタッペンの間に割り込む形となった。33周目、ガスリー、角田、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、ケビン・マグヌッセン(ハース)が次々にピットイン。34周目にはルクレールも入り、ミディアムに履き替えた。ラッセルがこのタイミングで、最速タイムを叩き出した。それを見て他のマシンも、次々にドライタイヤに履き替えていく。
首位ペレスも34周目にミディアムに交換。しかしルクレールのタイヤは温まりが悪く、アンダーカットはできなかった。
35周目、ミディアムに履き替えたばかりの角田が、ターン10でクラッシュ。2回目のSC導入となった。このタイミングでラッセル、ノリスがピットイン。この時点の順位は、首位ペレス、ルクレール、サインツ、そしてノリスが4番手に上がり、5番手フェルスタッペン、SC中にピットインしたリカルドは6番手まで順位を上げた。ランス・ストロール、ベッテルのアストンマーティン勢が7、8番手に入り、ハミルトンは9番手、ガスリーはタイヤ交換のタイミングが悪く、10番手まで順位を下げた。
コース上の全14台が、ドライタイヤに交換。リカルドとボッタスのソフトタイヤ以外は、すべてミディアムだ。
39周目にレース再開。この時点で、残りレース時間は35分を切った。フェルスタッペンはノリスを抜こうとしてターン7のブレーキングでタイヤをロックさせ、エスケープゾーンに直進。8番手まで順位を落とし、さらにタイヤにフラットスポットを作ったために、緊急ピットイン。ソフトに履き替えて、最下位14番手に後退した。一方ラッセルは、シューマッハーを抜く際に接触、2台はともにピットに向かった。
ペレスが「ドライバビリティに問題がある」と訴え、ペースが伸びない。ルクレールは0.5秒まで迫っている。そのタイミングで、DRSの使用が可能になった。しかしペレスがペースを取り戻したこともあって、ルクレールは再び差を広げられていく。
フェルスタッペンは激しく追い上げ、52周目にはガスリーをかわして9番手まで順位を戻した。一方、首位ペレスは、セーフティカーのランプ点灯中に間隔を10車身以上開けたとして、レース後の審議となった。5秒ペナルティの可能性を考慮して、ペレスが必死のプッシュを続ける。そしてチェッカー1周前に5秒以上のマージンを築き、規定周回数より1周少ない60周(2時間)となったレースで、最終的に7秒4差まで広げてチェッカーを受けた。
2位ルクレール、3位サインツ、4位ノリス、5位リカルド、6位ストロール、そしてフェルスタッペンはハミルトン、ベッテルの現役チャンピオンふたりを抜き去って、7位入賞。8位ベッテル、9位ハミルトン、10位ガスリーというトップ10となった。
6台がリタイア、2度のSC、3度のVSCという荒れた展開のなかで、ペレスは全周を首位で走り抜き、ドライバー・オブ・ザ・デイにも選出された。
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