F1 Topic:最高の栄誉であるコンストラクターズタイトルは「ホンダにとって一番欲しかったもののひとつ」
F1第19戦アメリカGPでレッドブルが2013年以来、9年ぶりにコンストラクターズチャンピオンに輝いた。
ホンダは昨年マックス・フェルスタッペンのドライバーズチャンピオン獲得をサポートしたが、コンストラクターズ選手権はメルセデスが制していた。ドライバーズ選手権が文字通りドライバーのものであるのに対して、コンストラクターズ選手権は車体を製造したコンストラクターとそのコンストラクターにパワーユニットを供給しているマニュファクチャラーの栄誉であり、そこで仕事をするエンジニアやメカニックたちにとって特別なタイトルだ。
昨年限りでF1参戦を終了したホンダは、今年からコンストラクターとしてはF1に参戦していないが、レッドブルからの要請で2022年用のパワーユニットを開発・製造・運用している。公式記録としてはコンストラクターズチャンピオンにホンダの名前はないが、事実上ホンダのパワーユニットが世界一になったことは明白だった。ホンダが最後にコンストラクターズ選手権を制したのは1991年だから、31年ぶりの快挙である。サーキット・オブ・ジ・アメリカズのピットレーンではホンダのスタッフ(HRC)たちが喜ぶ姿があった。
まずレッドブルでチーフメカニックを務める吉野誠だ。
「ホンダにとって一番欲しかったもののひとつなので、それが達成できたことは、なんとも言えないほどの喜びの気持ちいっぱいです。本当にうれしい」
吉野メカニックは現場ではレッドブルのチーフメカニックだが、レースを終えてファクトリーに戻るとHRE(ホンダ・レーシング・ヨーロッパ)-UKのマネージャーとして、HRCとレッドブル・パワートレインズのつなぎ役として尽力している。その仕事ぶりが評価されて今年のベルギーGPでは表彰台に立つほどレッドブル側からの信頼は厚い。
2018年はトロロッソでピエール・ガスリーを担当し、2019年からレッドブルの担当として、現在セルジオ・ペレスと仕事をする湊谷圭祐は普段は冷静だが、この日は喜びを爆発させていた。
「昨年はあと一歩で獲れなかったので、昨年獲り忘れたものを獲れたのかなとホッとしています。最終的にはフェラーリに大きく差をつけましたが、シーズン序盤はフェラーリの速さが目立ち、レッドブルは信頼性の問題を抱えていたので、今年もタイトル獲得は厳しいのかなと思っていました。ただ最後にはチームの総合力、エンジン、ドライバー、ストラテジー、チームのオペレーションすべてを含めて安定していたということだと思います。なのでトラックサイドの一員としてうれしいという気持ちと、ひとつのエンジンとしての機能の高さを証明できたこともよかったと思います」
その湊谷エンジニアと共にシステムエンジニアとしてペレスを担当する菅原裕にとっても特別な日となった。
「未勝利の状態で2019年からレッドブルとともに仕事をしてきて、まず1勝して、昨年ドライバーズチャンピオンに輝いて、今年コンストラクターズ選手権。純粋に幸せな気持ちです。みんなの努力が報われて、本当にうれしい」
菅原エンジニアは、2019年はガスリーとアルボン、昨年からペレスを見てきた。
「そうですね、長かったですね。信じられないですが、うれしい気持ちでいっぱいです」
ホンダは、レッドブル担当もアルファタウリ担当も常にひとつになって戦っている。レッドブルのコンストラクターズ選手権制覇を、アルファタウリ担当のホンダのスタッフたちも喜んでいた。チーフメカニックを務める法原淳は初のコンストラクターズ選手権制覇をこう喜んだ。
「うれしいです。世界一は人生でそう経験できるものではないですからね。チームは違うけど、ホンダとしてこれを目標にみんな頑張ってきたと思うので、それが叶って、現場で働いている身として私もうれしいです」
アルファタウリでガスリー担当のエンジンメカニックを務める田中勇佑は今シーズンから現場に来て、いきなり快挙を経験した。
「すごくうれしいです。今年は初めてメカニックとして現場に来させてもらって、こういう場に立ち会えてすごく光栄です。つらかったこともありましたが、いまとなってはうれしい気持ちでいっぱいです」
なお、ホンダの現場スタッフの集合写真に使用した日の丸は、現地で観戦していたファンの方からお借りしたものです。ご協力ありがとうございました。
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