レッドブル&HRC密着:コストキャップ違反に合意、“数カ月かかる”控訴は行わず。一方で風洞試験の制限は大きな痛手に
F1第20戦メキシコGP初日、この日、レッドブルはコース上での戦いだけでなく、コース外での争いでも戦っていた。金曜日の朝、国際自動車連盟(FIA)は、レッドブルが2021年のコスト上限である1億4500万ドルを超えていたとし、レッドブルと違反行為を容認することで合意したと発表した。
これを受けて、フリー走行1回目が開始する1時間半前の午前11時半から、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表がFIAのプレスカンファレンスルームを使用して、特別に記者会見を行った。
FIAの発表によれば、レッドブルが犯した違反の額は上限の1.6%で、レギュレーションに定められている上限の5%未満に該当し、ポイントの剥奪には至らなかった。ただし、700万ドル(約10億円)の罰金と、割り当てられた風洞試験と計算流体力学(CFD)制限がさらに10%削減されることになった。
会見でホーナーは、コストキャップ違反によって得たアドバンテージはないことを強調した。
「車両のパフォーマンスには1ペニーも費やされなかったし、車のパフォーマンスにも1ペニーも費やされなかった」
にもかかわらず、違反したことで科せられるペナルティのほうが大きいと語った。
「風洞試験の制限によって最大1周あたり0.5秒のラップタイムを失う可能性があり、極めて厳しいペナルティだ」
それでも、レッドブルが控訴せずにFIAと合意したのは、早期に決着することで、2021年のマックス・フェルスタッペンのドライバーズチャンピオンを確定させ、疑惑を持たれたまま仕事するチームスタッフと多くのサプライヤーたちを守りたかったからではないか。
「行政手続きを経て上訴を行っていたら、数カ月かかる可能性があり、国際控訴裁判所にはさらに数カ月かかっていた可能性がある。その間、パドックでさまざまな憶測が飛ぶだろう。そういうことを考えたうえで、我々は我々の利益、FIAの利益、F1の利益を考慮し、今日、罰則を受け入れた」
その会見の直後に始まった初日のメキシコGPは、フリー走行2回目にピレリのタイヤテストで力関係がわからないまま、セルジオ・ペレスが5番手、マックス・フェルスタッペンが6番手で終えた。それ以上に、レースにとって大きかったのは、コストキャップ違反を巡る騒動が閉幕したことではないか。
これでコース外の戦いは終わった。10月29日(土)からは、コース上での戦いに注目したい。
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