フェルスタッペン、年間最多勝記録を15勝で更新。しかし、勝率では上には上がいる

 

 2022年シーズンに22戦中15勝を挙げ、圧倒的な強さで2年連続のF1ワールドチャンピオンに輝いたレッドブルのマックス・フェルスタッペン。その強さはまさに記録的なモノで、年間15勝をいう数字は、歴史上最多の勝利数ということになる。この記録は、そう簡単に破られるモノではないだろう。
 本稿では、これまでのF1の歴史を振り返り、過去の年間最多勝記録を振り返っていく。
 今年フェルスタッペンが記録を更新するまで、最多勝記録を持っていたのは2004年のミハエル・シューマッハー(フェラーリ)と、2013年のセバスチャン・ベッテルで13勝であった。しかし、ベッテルが13勝を記録した2013年は年間19戦だったのに対し、シューマッハーが13勝を記録した2004年は年間18戦……勝率ではシューマッハーが72.2%なのに対し、ベッテルは68.4%と、シューマッハーに軍配が上がる。
 このシューマッハーの勝率72.2%という数字は実は驚異的。今季15勝を挙げたフェルスタッペンを勝率で換算すると68.1%となり、シューマッハーはおろかベッテルにも届かないのだ。2004年といえば、BARホンダ006に乗る佐藤琢磨が活躍し日本中のF1ファンが沸いたが、その裏というか表というか……いかにシューマッハーが強さを発揮したシーズンだったかというのがよく分かろうというものだ。
 勝利数記録の4〜9位は、いずれも11勝で並んだ。うちふたつはシューマッハー(2002年)とベッテル(2011年)だが、それ以外の4つはすべてメルセデスのルイス・ハミルトンが記録したモノ(2014、2018〜2020)である。中でも新型コロナウイルスの影響で開幕が7月にずれ込み、そこから12月までの間に17戦を強行開催した2020年は、勝率の上でも2002年のシューマッハーと並ぶモノであった。しかし3年連続11勝というのは驚異的である。
 10勝で並んでいるのは3例で、やはりそのうちふたつがハミルトンのモノ(2015、2016年)。なお、もうひとつの10勝は、2021年のフェルスタッペンが記録したものである。
 このようにドライバーの年間最多勝記録を紐解いていくと、シューマッハー、ハミルトン、ベッテル、フェルスタッペンという4人の名前しか出てこないということになる。これは、年間のレース開催数が多くなったことと深く関係しているだろう。
 冒頭では、15勝という記録を更新するのは難しいと申し上げたが、2023年には全24戦、将来的には年25戦まで増やされることが検討されている……10回負けても15勝できてしまう可能性があるのだ。いとも簡単に更新される日が来るのかもしれない。
 ちなみに9勝まで掘り下げると、前出の4人以外の名前も出てくる。9勝を記録しているのは全部で6例であり、うち3つをシューマッハー(1995、2000、2001年)、ひとつをハミルトン(2017)が記録している。
 あとのふたつのうちのひとつは、1992年のナイジェル・マンセル(ウイリアムズ)だ。16戦で行なわれたこの年、マンセルは開幕5連勝。ドイツGPまでの10戦中8勝を挙げ、続く第11戦ハンガリーGPでこの年のタイトル獲得を決めてしまった。これは2002年のシューマッハーに次いで、早々にチャンピオンを決めてしまった記録である。なおこの年のマンセルのポールポジション獲得記録は14回で、獲得回数では2011年のベッテルに次ぐ2位だが、獲得率では87.5%でぶっちぎりである。
 もうひとつの9勝は、ハミルトンとの激しい争いの末、自身唯一のタイトルを獲得した2016年のニコ・ロズベルグ(メルセデス)である。
■F1年間最多勝記録トップ10(ドライバー)
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