サージェント加入でアメリカ系パートナー増加のウイリアムズF1。積極的なチーム改革で上位進出を狙う
ハース、レッドブルに続いて、2023年シーズン3番目にF1新車発表会を行ったのがウイリアムズだ。この発表会はチームが事前に「リバリー」と明示しているように、発表会に登場したマシンは2023年型マシンである『FW45』そのものではなく、カラーリングのみ2023年用にしたスポンサー用の発表会だった。
その2023年のカラーリングは、2022年型マシンの『FW44』を進化させたもので、レッドとブルーの閃光を特徴とするブランドのビジュアルはそのままだった。唯一の違いは、塗装仕上げがマット加工に変更されている点だ。これは、チームによれば、「コース上でのビジュアルをより強く印象付けるため」となっているが、これは外観上のイメージアップだけでなく、同時に軽量化にも貢献しているものと考えられる。
その進化したカラーリングには新たなロゴも加わった。2023年にウイリアムズの新たなスポンサーとなったガルフ・オイル・インターナショナルだ。2022年末でマクラーレンF1との契約を終えたガルフが、2023年に新たにスポンサー先として契約したのがウイリアムズだった。ガルフはアメリカ・ペンシルベニア州に本社を構える石油会社で、アメリカでのF1人気を背景に今後数年間ウイリアムズのスポンサーを務める。
その契約の背景には、ウイリアムズから今年アメリカ人ドライバーがF1にデビューすることが関係していることは想像に難しくない。ウイリアムズ・ドライバーアカデミー出身のローガン・サージェントは、2000年12月生まれの22歳。昨年初参戦したFIA F2でシリーズランキング4位を収め、FIA F2のルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得すると同時に、スーパーライセンス取得条件をクリアし、2015年のアレクサンダー・ロッシ(マノー・マルシャ)以来8年ぶりとなるアメリカ人として念願のF1シートを手にした。
新たなアメリカ人F1ドライバーの誕生によって、今年のウイリアムズにはいくつかの新たなアメリカ系企業がパートナーに加わった。ひとつは1933年にアメリカで設立され、アメリカ以外にも、ロンドン、フランクフルトに主要なオフィスを持つ独立系金融サービス会社であるスティーブンス社。スティーブンスがヨーロッパでの拠点を増やすのに伴い、ウイリアムズのオフィシャル・インベストメント・バンキング(投資銀行)パートナーとなった。もうひとつは、アメリカで急成長しているビールブランドのミケロブ・ウルトラで、こちらは2006年以来の再契約で今回は複数年の契約を締結している。
そして、何よりこのチームの経営者であるドリルトン・キャピタルがアメリカに本社を置く民間投資会社であることを忘れてはならない。2020年の8月に創業者であるウイリアムズ家から後を引き継いだドリルトン・キャピタルは、昨年末にアメリカ人ドライバーをF1にデビューさせただけでなく、チーム代表兼CEOだったヨースト・カピートと、テクニカルディレクターだったフランソワ-グザビエ・ドゥメゾンを解任。2023年1月13日にはメルセデスの戦略チームを率いていたジェームズ・ボウルズをチーム代表に招聘するなど、積極的にチームの改革に乗り出している。
ボウルズのウイリアムズ加入は2月20日となっているため、2月6日の発表会にボウルズの姿はなかった。おそらく2月23日から始まるプレシーズンテストが仕事始めとなるだろう。
その前にウイリアムズは2月13日にイギリス・シルバーストン・サーキットでFW45のシェイクダウンを行う予定にしている。ドゥメゾンに変わってテクニカルディレクターとなったデイブ・ロブソンによれば、「FW45は昨年型マシンの正常進化版で、フロントサスペンションに加え、サイドポッドなどいくつかの空力パーツの形状に変更が加えられている」という。
新たなチーム代表とルーキーを迎えて戦うウイリアムズ。2023年が未来へ向けて力強い第一歩となることを期待したい。
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