関連会社へ異動すれば予算上限の適用外? アルピーヌF1代表、一部チームが利用する“コストキャップの抜け穴”に警鐘
アルピーヌF1のオットマー・サフナウアー代表は、一部のチームが報酬の高いスタッフを関連会社に異動させることでコストキャップの適用を免れていると指摘し、F1チームへの予算上限が無意味なものにならないようにと警鐘を鳴らした。
高騰する参戦コストを抑制し、チーム間の格差を是正することを目的にコストキャップがF1に導入されてから3年目のシーズンを迎えた。予算上限は年度ごとに削減され、各チームは2023年、いくつかの項目を除いて年間予算を1億3500万ドル(3月10日時点で約183億)以下に収めることが求められる。
しかし、アルピーヌのサフナウアー代表はライバルたちが巧妙な「抜け穴」を用いて予算に計上すべき支出を減らしているのではないかと疑いの目を向けている。
『Speedcafe.com』によると、サフナウアーは古巣であるアストンマーティンを例に挙げ、その手口について推測している。
2023年2月、アストンマーティンはレッドブルからダン・ファローズを獲得したことに伴い、それまでテクニカルディレクター職にあったアンドリュー・グリーンを、研究部門のアストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズのチーフテクニカルオフィサーへと異動させた。
サフナウアーはこの件について「このような補助的なビジネスは、予算上限がなければ存在しなかったものだ」と断じている。つまり、チームはグリーンへの給与を予算に含めることを回避するために彼を関連会社へ異動させたのであり、実質的にグリーンはF1への関与を続けているのではないかと疑惑を抱いているのだ。
アストンマーティンの他にもレッドブルやメルセデス、マクラーレンなど、F1チームと独立した研究部門を所有するチームは多い。それらは名目上F1以外の業務を担っているが、仮にそこで得た技術がF1チームに流用されていたとしても、それを取り締まることは難しいとサフナウアーは言う。
そのため、各チームは関連部門に多額の人件費や研究開発費を投じたとしても、コストキャップの適応を免れることができる。彼はこうした行為が恒常化してしまえばコストキャップが有名無実化するとして、監視の目を強める必要があると警鐘を鳴らした。
「もし、誰かが他の仕事に取り組んでいるときに、F1に関する素晴らしいアイデアを思いついたとしたら、果てしてそれをどう計上すればいいのだろうか。それは単なるアイデアなのだ」
「私たちは、このような抜け道が塞ぐことができないほど大きくならないように、注意を払っていく必要がある」
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