F1昇格に向け正念場を迎えるF2ドライバーたち。好スタートを切った岩佐、重圧にさらされるプルシェールとベスティ
2023年のFIA F2選手権は、この数年で最も見応えのあるシーズンといっていいだろう。F1チームのジュニアドライバーのなかの5人が、今シーズン必ずタイトルを獲得しなければならないというプレッシャーのもとで戦っている。F2での2年目、あるいは3年目の彼らは、今年チャンピオンになって2024年にF1に昇格することを目指しており、それができなかった場合、キャリアが行き詰まる可能性に直面しているのだ。
シーズン開幕前、メルセデスのジュニアドライバーであるフレデリック・ベスティは、F1昇格の野望を実現するためには、今季のF2タイトルを獲得する必要があるとして、「昨年よりもはるかに一貫性のあるシーズンにしなければならない」と述べていた。
ベスティはルーキーシーズンの2022年は、ランキング9位という結果だった。バクーでのスプリントレースで優勝し、レッドブルリンクではポールポジションを獲得したが、28レースのうち15レースで入賞できなかったのだ。
「昨年よりもはるかに一貫性のあるシーズン」を目指しているベスティにとって、2023年シーズンの出だしは、散々なものだった。第1ラウンドのサクヒールでは、予選で他車を妨害、フィーチャーレースでは接触の責任ありと判断され、それぞれペナルティを受けた。ベスティは無得点でバーレーンを後にしたが、サウジアラビアでは印象強い復活を遂げた。スプリントレースを6位でフィニッシュし、フィーチャーレースでは優勝。バーレーンでの失望の後で、ベスティは強靭な精神力を示した。冬の間に彼は、精神面を強化することに注力してきたのだが、それが明確に功を奏したといえるだろう。
第3ラウンドのオーストラリアではスプリントレース8位、フィーチャーレース4位で、合計42ポイントのランキング3位。首位の岩佐歩夢とは16ポイント差、2位テオ・プルシェールとは8ポイント差だ。
おそらくベスティよりも大きなプレッシャーにさらされていると思われるのが、アルファロメオ/ザウバーのジュニアドライバーであるプルシェールだ。F2をフルシーズン戦うのは今年が3年目。2022年をランキング2位で終えた後、一時はF2で活動し続けることを諦めた。しかし2023年に参戦するための費用を集めることに成功し、再びタイトルを追い求めている。今シーズンは好調なスタートを切ったプルシェールだが、まだミスが多すぎるようだ。
F2で走る6人ものレッドブルジュニアドライバーのなかで、今最も有望なのは岩佐だろう。速さと一貫性を発揮しており、現在のレベルを維持すれば、タイトルを獲り、F1昇格への基礎を固めることができるかもしれない。
同じくレッドブルジュニアのデニス・ハウガーは、岩佐同様、今年F2での2シーズン目を迎えている。第1ラウンドのバーレーン/スプリントで2位を獲得、好調なシーズンスタートを切った後、精彩を欠いたが、オーストラリアのスプリントで優勝した。彼には母国ノルウェーのスポンサーからの大きな支援もあり、F1ドライバーとなるチャンスをつかむ可能性がある。
アルピーヌのジュニアドライバーであるジャック・ドゥーハンは、2021年にF2で6戦に出場し、昨年は初めてフルシーズン参戦、強い印象を残した。しかし今年は第3ラウンド終了時点でランキング11位に沈んでいる。さらにドゥーハンは、アルピーヌ・アカデミーの先輩たち、クリスチャン・ルンガー、周冠宇、オスカー・ピアストリらと同じ問題を抱えている。カスタマーチームを持たないアルピーヌが、ジュニアドライバーのF1シート獲得を支援するのは非常に困難であり、傘下のドライバーたちが得られる選択肢がほとんどないのだ。
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