【F1マイアミGP決勝の要点】ブレーキング時の振動に苦戦も、タイヤを持たせオーバーテイク。4位入賞に満足のラッセル
「予選での苦労を思えば、本当に満足のいくレースだった」
4位入賞を果たしたジョージ・ラッセル(メルセデス)のコメントからは、「やり切った感」が溢れていた。実際、現時点でのメルセデスの戦闘力からすれば、レッドブルのふたり、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソに次ぐ4位は、望みうる最高の結果と言ってよかった。
ラッセル自身が言及するように、予選でのメルセデスは最悪の状態だった。初日フリー走行にしても、FP1でラッセル、ルイス・ハミルトンが1-2を占めたのが、FP2では7、15番手と中団グループのなかに埋没した。迎えた予選も、ハミルトンは13番手でQ2敗退。ラッセルはなんとか10番手でQ3に進めたが、11番手のアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)とは0.05秒の僅差だった。
それが決勝レースでは、ハースの2台、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、ランス・ストロール(アストンマーティン)、角田裕毅(アルファタウリ)ら8台をコース上で次々に抜いて行き、最後はカルロス・サインツ(フェラーリ)を仕留めて4番手でチェッカー。DRSトレインに巻き込まれ、我慢の展開を強いられたハミルトンも、13番グリッドから6位まで順位を上げた。
ただしこれはメルセデスがレースで突然速くなったというより、予選一発のペースが遅すぎたというべきだろう。ラッセルはQ3で結果的に6番グリッドを獲得したが、「マシンバランスは最低だし、スムーズな路面なのに車体が跳ねまくる」と、不満たらたら。決勝レースでも、盛んにブレーキング時の振動の酷さを訴えていた。
コース上で抜き去ったマシンのほとんどは、いわば格下の車だ。唯一フェラーリだけはメルセデスを凌ぐ実力を有するが、サインツはアロンソ攻略でハードタイヤを酷使しており、ラッセルの猛チャージを防ぐことはもはや無理な状況だった。
とはいえレコードラインを少しでも外すと一気にグリップを失うこのコースでしっかりタイヤを持たせ続け、バトルの末にサインツを抜き去ったのはさすがだった。現時点のW14の戦闘力は、トップ4のなかで最下位と言っていい。普通に走れば7、8位が順当ということだ。だからこそラッセルは自分の仕事に、満足感を表明したのだった。
今季のメルセデスの最大の問題は、コースコンディションやセッティング変更でパフォーマンスが大きく上下しすぎること。そしてその理由が、今もってはっきりわかっていないことだ。
レース後のトト・ウォルフ代表は、「次のイモラでは、マシンをより深く理解するために一歩を踏み出したいと思っている」と語っていた。そこで予定されている大幅アップデートで、ハミルトンがいうところの「レッドブルとのコンスタントな1秒差」が、はたしてどこまで挽回されるだろうか。
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