低調なアルピーヌF1チームをCEOが激しく非難「サフナウアー代表の責任」と断言
アルピーヌのCEO、ローラン・ロッシは、F1マイアミGP中に行われたふたつの別々のインタビューにおいて、アルピーヌF1チームの今シーズンのパフォーマンスに強い不満を示し、チーム代表オットマー・サフナウアー代表をはじめとする首脳陣を激しく非難した。
ルノーCEOであるルカ・デメオが今年初めてグランプリの現場を訪れたマイアミの週末、フランスのテレビチャンネル『Canal Plus』とフォーミュラ1公式サイトにおいて、ロッシのインタビューが行われた。ロッシはこのインタビューを思いつきで実施したわけではなく、チームのメンバーを公の場で批判し、辞任に追い込もうという意図を持っていたことは明らかだ。
砲火に晒されたのは、サフナウアー代表だ。アストンマーティンF1チームの代表を務めていたサフナウアーは、2022年の初めにロッシに引き抜かれた。しかしそのロッシが今、サフナウアーを激しく批判している。
アルピーヌは、2021年にはF1コンストラクターズ5位、2022年に4位に浮上した。常に表彰台争いに加わる存在になるという当面の目標に向けて、順調に進歩しているように見えたアルピーヌだが、今シーズン序盤はつまずいてしまった。開幕戦バーレーンではエステバン・オコンが3つものペナルティを受け、ピエール・ガスリーは予選Q1で敗退した。オーストラリアでは好結果が期待できそうだったが、最終的にチームメイト同士の接触によりノーポイントに終わった。アゼルバイジャンGPでは、空力アップグレードがA523に導入されたものの、FP1でトラブルに見舞われた。マイアミではダブル入賞を果たしはしたが、2台ともトップ10内の低い位置にとどまった。現在アルピーヌはコンストラクターズ選手権でマクラーレンと同点の6位に位置している。
■ロッシCEO「パフォーマンスも運営上の優秀さも不足している」と不満を示す
ロッシは、全体的なパフォーマンス不足や運営上のミスについてチームを強く非難している。まず、デザインチームに関してロッシは、次のように語った。
「開発目標に届かない状態でシーズンをスタートした。(ランキング)4位の地位を固めるために目指していたレベルと比べると、パフォーマンスが不足していた」
次にロッシは、レースチームの問題点を指摘した。
「非常に多くのミスをしてきた。週末のなかでミスが多すぎる。パフォーマンスが比較的低く、運営上の優秀さが欠けている場合、困難な状況に陥る。今年は難しい年になるだろう。シーズンはまだ始まったばかりであり、私は諦めたくはない。しかし変わるべきことがいくつかある。パフォーマンスを取り戻すために、チームを強化し続ける必要がある。昨年とほぼ同じチームなので、変わるべきことのひとつは、物の考え方だ。今チームにいる人々も、これから加入する人々も、それを変える必要がある」
「まずは、自分のミスを認め、ミスを繰り返さず、自分のミスから学習することから始まる。ミスをするのは構わないが、同じミスを2回繰り返すことは許されない。それは学んでいないということになるからだ。今年はたくさんの言い訳がなされ、それが低いパフォーマンスや運営の優秀さの欠如につながっている」
「私はこのことに取り組む必要があり、取り組むために適切な人材を必要としている。そういう必要があるということをチームに認識してもらわなければならない。なぜならこれは私ではなく彼らがすべきことだからだ。彼らの責任だ。彼らが同じ診断をすることを期待している。これが問題点の診断であり、彼らがそれを修正する必要があるということを、明確に伝えるつもりだ」
アルピーヌF1チームが低調なスタートを切ったことの責任はサフナウアー代表にあるのかと聞かれたロッシは、躊躇なくサフナウアーを非難した。
「彼はチームのパフォーマンスについての責任を負っている。それが彼の仕事だ。この点において隠すようなことはない。オットマーはチームを導くために招聘された。今シーズン、そして今後のシーズンに、我々の目標に向かって進むためにだ。昨年、チームはそれなりに良いパフォーマンスを発揮し、(コンストラクターズ選手権)4位を獲得した。長年のなかで最も良い成績で、非常に多くの希望を得た。メンバーはほぼ変わっていないので、そのパフォーマンスを維持する能力がないということを、私は受け入れない。もちろんオットマーと彼のチームの責任だ。オットマーひとりがすべてを行うわけではない。だが、責任はオットマーが取る。そう、オットマーの責任なのだ」
サフナウアーを今も信頼しているか、彼は職を追われる危険があるのかという質問に対し、ロッシは、さらなる一撃を加えた。
「信頼は、良い結果と共に高まり、悪い結果が出ると損なわれるものだ。誰もが最初に信頼の資本を持ち、それを管理していく。スポーツで受け入れられる挫折は限られている。基本的にそれは明らかだ。正しい方向に進んでいるかどうかは誰でも分かる。それが信頼の資本に直接影響を与える。オットマーは非常に有能な人物であると言える。だが、彼には大きな任務が課されている」
アルピーヌとサフナウアーの契約はあと1年半残っており、彼はこういう状況のなかで職を辞するような人間ではない。そしてアルピーヌが彼を解雇する場合は、多額の違約金が必要になるだろう。ロッシは、サフナウアーが辞任することを期待して、このような激しい言葉を投げかけたのだろうが、その作戦が成功する可能性は低いと思われる。
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