【F1第5戦無線レビュー】アロンソ、僚友の順位アップをスクリーンで確認「ランスは何番手?ターン1の動きはよかった」
2023年F1第5戦マイアミGPは、市街地コースを得意とするセルジオ・ペレスがミディアムタイヤのグレイニングに苦しみ、連勝とはならならなかった。一方9番手スタートのマックス・フェルスタッペンがハードタイヤをうまく持たせて今季3勝目を飾った。マイアミGPを無線とともに振り返る。
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レッドシグナルが消え、全車がきれいにスタートを切ったかに見えた。しかし実際には、あちこちで接触事故が起きていた。
(1周目)
ルイス・ハミルトン:誰かがぶつかった!
ピーター・ボニントン:今のところ、大丈夫だ。ダメージはない
その背後ではニック・デ・フリース(アルファタウリ)がランド・ノリス(マクラーレン)に追突した。
ウィル・ジョゼフ(→ノリス):車体は問題ないよ
ピエール・アムラン(→デ・フリース):大丈夫だ
(6周目)
ハミルトン:まっすぐ走らないんだけど
事故のダメージがあるのか、あるいは風の影響か。ハミルトンが挙動が乱されていると訴えた。
(7周目)
フェルナンド・アロンソ:プランAでいいけど、マイナス12の感じかな
通常なら「マイナス12」は、12周少ないスティントという意味だ。しかしこの時点でフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は首位セルジオ・ペレス(レッドブル)の2秒以内で、順調に周回を重ねていた。タイヤが持たなそうな兆候はなかった。実際、第1スティントは誰よりも長い24周目まで引っ張っている。もしかすると第2スティントのハードタイヤを、12周少なくしようということだったのかもしれない。
8周目、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がターン17の進入でジョージ・ラッセル(メルセデス)を抜いて行った。
(9周目)
マーカス・ダドリー:ガスリーを抜いて、フェルスタッペンに付いて行くんだ
ジョージ・ラッセル:言うだけなら簡単さ!
それでもラッセルは、10周目にガスリーをかわして5番手に順位を戻した。
(10周目)
ダドリー:ほら、簡単じゃないか
ラッセル:君たちエンジニアの言うことを、もっと聞くようにするよ
しかしマシンは完璧ではないようだ。
ラッセル:ブレーキングで振動がひどい
(11周目)
ラッセル:僕の直感だと、プランAだな
プランAはミディアムタイヤ→ハードタイヤのオーソドックスな1ストップ作戦だろう。メルセデスはラッセルの意見に同意し、この戦略を遂行することになる。
アロンソを抜いて2番手に上がったフェルスタッペンが、首位ペレスの3秒後方に迫る。ミディアムスタートのペレスは、タイヤのたれを訴え始めた。
(17周目)
ペレス:右フロントが落ち出した
21周目、ペレスに「ボックス!」の指示が出て、フェルスタッペンがトップに立った。
(24周目)
ランス・ストロール:どうなってるんだ。レース状況を教えろよ。僕らのペースとか。僕はどうしたらいい?
ブラッドリー・ジョイス:ハード組のなかでは、ペースはいい。もっとプッシュしていいぞ
なかなか入賞圏内に入れないストロールが苛立ち、それを担当エンジニアがなだめようとしている。
首位に立ったフェルスタッペンは、ハードタイヤの持ちが気になっている。
(25周目)
フェルスタッペン:ミディアムのリミテーションはどう? フロントウイングを何とかした方がいい?
ジャンピエロ・ランビアーゼ:それはこっちで考えるから、ドライビングに集中しろ
(30周目)
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):もうちょっとタイヤに寄りかかっていいぞ。僕らはアロンソを見てる
「タイヤに寄りかかる(lean)」というのは、「タイヤに頼って走れ」という表現。ハードタイヤの状態がいいので、ペースを上げて後続とのギャップを広げる。そしてピットインの際には、何とか2番手アロンソの前に出たいということだ。
(32周目)
ボニントン:ルイス、1秒1後ろにジョージが来てる。お互いに、レースはしてない。戦ってるのはオコンだ
ハミルトン:すぐに譲るよ。スロットルは戻さないけどね
ボニントン:ジョージはターン7だ。チームのために譲ろう
ラッセル:本当にありがとう。感謝しかないよ
ハミルトンに譲ってもらって6番手に上がったラッセルは、エステバン・オコン(アルピーヌ)、カルロス・サインツ(フェラーリ)を次々に抜いて、最終的に4位入賞を果たした。
レース終盤、アロンソの3位表彰台はほぼ確定だ。
(50周目)
アロンソ:ランスは何番手なんだ? ターン1の動きはすごくよかったな
49周目にストロールがアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を抜いたところを、コース脇の巨大モニターで見たのだろう。前後の間隔が比較的開いていたとはいえ、レーシングスピードで周回中にモニターでチームメイトの戦いを確認するのも凄いが、さらにそれを無線で誉める。オーナーのローレンス・ストロールはアロンソの心遣いに、さぞ喜んだことだろう。
9番グリッドスタートのフェルスタッペンが、見事に優勝を果たした。
ランビアーゼ:大変なレースだったが、素晴らしい運転をしてくれた。予選でもっと上手くやれなかったか、あとで見直してみよう
フェルスタッペン:いいレースだった。序盤に事故とかに巻き込まれなかったし、クリーンな走りができた。ハードタイヤで長く周回できたのが、よかったね
ポールシッターのペレスがミディアムでスタートしたのに対し、フェルスタッペンはハードを選択。それでもレースペースがいいことはわかっていたので、スタート直後のハミルトンとのバトルも無理せず先行させ、後でゆっくり仕留めていた。マシン戦闘力の高さだけに頼らない、王者らしいレースを見せたフェルスタッペンだった。
フェルスタッペン:ところでジョナサン、誕生日おめでとう。今日は忙しくて、会えなかったからね。とにかく、おめでとう。まだ35歳にしか見えないよ!
ランビアーゼ:ついでに最速タイムも獲得だ。ハードタイヤのスティントで、しっかり話を聴いてくれてありがとう。素晴らしいタイヤマネージメントだった
ペレス:あらゆることを試したけど、最初のミディアムのグレイニングが酷かった。今日のマックスは、本当に強力だった。おめでとうと言う他ないよ
そして角田裕毅(アルファタウリ)は入賞こそ叶わなかったが、今季ベストと言っていい走りを見せてくれた。
マッティア・スピニ:本当に素晴らしいレースだった
角田:やれることは、すべてやったよ
角田:ドリンクが機能してなかった。それもきつかったね
スピニ:ごめんね
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