アルファタウリF1のトスト代表、ラルフ・シューマッハーと日本で過ごした日々を振り返る「実は彼は、日本が嫌いだったんだ……」

 

 今季限りでアルファタウリのチーム代表を退くことになったフランツ・トストが、日本での思い出を語った。
 トストは、レッドブルがミナルディを買収し、スクーデリア・トロロッソが立ち上げられた当初からチーム代表に抜擢され、チームの名称がアルファタウリを変わった後もチーム代表の重責を担い続けてきたが、今季限りで同職を退くことになった。
 なおトストは、トロロッソのチーム代表に就任する前には、ラルフ・シューマッハーのマネージャーを務め、日本に住んでいたこともあった。トストは最近、motorsport.comの姉妹サイトであるFormel1.deのインタビューに応じ、ラルフ・シューマッハーと共に日本に住んでいた時のことを振り返った。
「我々は富士山の麓、山中湖に住んでいたんだ。そしてラルフは、いつもヨーロッパに戻りたがっていた。そして私が結婚しているのだから、ヨーロッパに戻らなきゃと彼は言っていたんだ」
 そうトスト代表は語る。
「私は”ノー”と言った。我々は絶対に戻るべきではなかったんだ」
 ラルフはホームシックを患ったため、ヨーロッパに戻りたいと主張していたのか? そう尋ねられたトスト代表は、次のように続けた。
「私としては、戦っていく上で日本に留まらなければいけないということは明らかだった。ホームシックになることを、なぜ気にする必要があるんだい? 我々の”家”はサーキットだ。ホームシックになるかどうかを気にすることに、一体何の意味があるのか? それについて議論するのは全くの無駄だ」
「私は彼に、そのことをハッキリと伝えた。でも彼は、私は結婚しているのだから、妻の元に戻らなければいけないとずっと信じていた」
 トストは、それだけ覚悟を決めて日本にやってきたということだろう。
「私は妻に、1年間別居することについては、ほとんど何も言わなかった。彼女は、私が荷物をまとめていることが気付くと、『いつ戻るの?』と尋ねた。私は『しばらくかかる』と彼女に言ったんだけど、彼女はそのうち合流できると思っていたはずだ」
「無駄な議論に巻き込まれたくなかったので、そうやって少し気持ちを和らげた。そして、日本に行ったんだ」
 日本にやってきた後のトストとラルフは、非常に忙しい日々を過ごしていたという。
「それから山中湖で過ごした。ラルフは当時、フォーミュラ・ニッポンとGT選手権に参戦していた。だから山中湖にいたのは、せいぜい週に1日か2日だ。それ以外は、ただ移動する日々だった」
 そうトストは説明する。
「ある週末にはフォーミュラ・ニッポンのレースがあり、次の週末にはGTのレースがあった。その間には、当時ラルフが所属していたチームルマンが担当する、ブリヂストンのタイヤテストもあった。我々はノンストップで旅を続けた」
「それはラルフにとっても素晴らしい時間であり、忙しい時間だったはずだ。その間にも、毎日トレーニングを続けた。すべてが完璧だった」
「でも、ラルフは日本が大嫌いだった。彼は最初のテストの直後に、ヨーロッパに戻りたがった。彼は日本のスタッフに苛立ってしまったんだ」
 その時のことを、トストは次のように振り返る。
「ラルフがコースに出ようとした時、スロットルのケーブルが切れてしまったんだ。ラルフがそれをメカニックに伝えると、彼らは『はいはい』と語ったんだ。それで少し待った後、再びエンジンを始動してみると、やはりアクセルペダル、スロットルケーブルが壊れていた。それを伝えると、メカニックはやはり『はいはい』と言った」
「実はその彼は、ラルフが言っていることを分かっていなかった。そのことが、ラルフを酷く動揺させ『ここから出て行きたい! 無意味だ!』と言い始めていたんだ。そしてこうも言っていた。『彼らはそれが何なのか、僕が何を望んでいるのかも理解していない!』とね」
「我々はすべてのことを整理し、それから彼にこう言った。『ラルフ、本当に簡単なことだよ。チャンピオンシップに勝てば、我々はヨーロッパに戻れる。しかし勝てなかったら、もう1年残るかもしれないよ』と。それで彼はチャンピオンを獲得したんだ」
 トストはこの時に習得した日本文化への理解、そして日本語が、後にトロロッソがホンダと組むことになった時、活きることになったと語っている。
「言語のスキルは、それほどではないよ。でも、異文化の中にいると、言語も学ばなければいけない。それは、私にとっては明確なことだった」
「だから私は、日本語を学んだ。日本にいた当時、半分くらいは彼らと会話することができていた。それはうまくいったよ」
「ホンダとは、良好な形で連絡を取り合うことができていた。だからこそ彼らは決してやめなかったし、F1を継続し、我々と組むということを2016年から2017年にかけて説得するのがうまくいったんだ」
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