マクラーレン、ノリスにハードタイヤを履かせた理由を説明。SC導入タイミングでクルーの混乱回避を優先/F1第11戦
マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、F1第11戦イギリスGPでセーフティカー(SC)が導入されたタイミングはチームにとってよくなかったので、ランド・ノリスの第2スティントでハードタイヤを装着するよう出した指示を維持するしかなかったと語った。
ノリスとチームメイトのオスカー・ピアストリは、レース前半、先頭のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を追って2番手と3番手のポジションにつけていた。マクラーレンは29周目にピアストリをピットインさせ、そのままハードタイヤを装着してピットアウトさせることで安全策を採った。
33周目にハースのケビン・マグヌッセンがコースで立ち往生し、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入されたが、マクラーレンはここで再び慎重な作戦をとり、ノリスにもハードタイヤを用意させた。しかしレースコントロールはバーチャルセーフティカーを完全なセーフティカーへと移行させる決定を下し、レースはいったんリセットされる状況となった。この場合、ノリスにはソフトタイヤを履かせるのが適切な判断であるように思われた。すぐ背後に迫るルイス・ハミルトン(メルセデス)に対して、2番手のポジションが守りやすくなるからだ。
しかし不運なことに、バーチャルセーフティカーからセーフティカーへの変更はノリスがピットレーンにちょうど入ったタイミングで起き、マクラーレンにはソフトタイヤを用意する時間がなかった。
「バーチャルセーフティカーの段階では、ハードタイヤで十分に行けると考えていた。というのは、タイヤのウォームアップは問題にならないだろうからだ」とステラは説明した。
「ところが、我々がピットストップ作業に取りかかろうというときにバーチャルセーフティカーがセーフティーカーへと切り替わった。ピットではハードタイヤを装着する準備がすべて整っていたのだ。そこで急遽ソフトに変更したら、作業に問題が発生しただろう」
「ピットクルーにハードタイヤの用意をさせておいて、ソフトだと指示を出したら、彼らは慌ててガレージに走り、タイヤブランケットを外し、タイヤを持って来なければならない」
「かなりの混乱が生じるだろう。そしてピットストップ作業が遅延したかもしれない」
ノリスは2番手のままコースに復帰したが、ハードタイヤが温まるまでのあいだ、ソフトタイヤを履き強い決意をもって追い上げてくるハミルトンに先行するには、攻めた走りをする必要があるのは明白だった。ノリスはハミルトンがどのタイヤを履いているか気にしていたが、それをチームから知らされ、「上等だね」と冗談を言った。
しかしシルバーストンの高速コーナーはマクラーレンに有利に働き、ノリスは短時間のうちにタイヤの温度を上げることができた。結果として、レースがリスタートしてもノリスはハミルトンを抑えたのだった。
「今回は、ウォームアップに要する時間という意味で、ハードタイヤとソフトタイヤに大きな差がある状況ではないと考えた」とステラは語った。
「最初の4つのコーナーをうまく回り、9コーナーを通過する頃には、十分に温度が上がり始める。だから、指示はシンプルなものにとどめた」
「ピットストップでタイヤをあちらからこちらへと動かすことをしたくなかった。作業が大きく遅れる恐れがあったからだ。遅れを受け入れていたら、リスタート時に順位がひとつ下がっていたかもしれない。だから、あれが一番いい判断だったと思っている」
積読本や購入予定の書籍の情報を投稿しています
小説/開発/F1&雑談アカウントは、フォロバを返す可能性が高いアカウントです