【F1第12戦無線レビュー】圧巻の勝利で記録を達成したフェルスタッペン「12連勝、信じられないよ。みんなの誇りだ」
2023年F1第12戦ハンガリーGP。レッドブルのマックス・フェルスタッペンが7連勝を飾り、レッドブルの連勝記録を『12』に伸ばした。またアルファタウリからF1復帰を果たしたダニエル・リカルドは、誰よりも長い第3スティントを走り切るという素晴らしい走りを見せた。ハンガリーGPを無線とともに振り返る。
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レッドブルとマックス・フェルスタッペンの快進撃は、どこまで続くのか。ハンガリーGP決勝レースは、フェルスタッペンが抜群の蹴り出しでポールシッターのルイス・ハミルトン(メルセデス)に迫り、ターン1であっさりとかわしていった。
その後方では、周冠宇(アルファロメオ)がダニエル・リカルド(アルファタウリ)に追突したのをきっかけに、アルピーヌ2台をリタイアに追い込む多重クラッシュが発生していた。
1周目
リカルド:ああ……後ろからぶつけられた
ピエール・ガスリー:何が起きたんだ。エステバンが、僕の上を通過して行った
カレル・ルース:了解。クルマはどうだ?
ガスリー:わからないけど……ダメみたいだね
エステバン・オコン:ひどくぶつけられた
ジョシュ・ペケット:わかった。戻ってこれそうか?
オコン:大丈夫そうだけど
ペケット:そのまま運転してくれ
オコン:了解。でもリヤがおかしい
2周目
ガスリー:なんでこんな不運に遭うんだ。信じられないよ
ルース:本当に残念だ。言葉もないよ
オコン:15mくらい跳ばされたと思う
ペケット:おしまいだ。残念だ
ハミルトンはマクラーレンの2台にも抜かれ、4番手に後退。4番グリッドスタートのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が2番手に躍進した。
ハミルトン:申し訳ない
トム・スタラード(→ピアストリ):ピットインまで、プッシュし続けろ
9番手スタートのセルジオ・ペレス(レッドブル)は順調に順位を上げ、8周目には6番手カルロス・サインツ(フェラーリ)の背後に迫っていた。
14周目
サインツ:チェコが僕を抜いたら、ボックスする。今すぐじゃないけどね
リカルド・アダミ:わかった
サインツは15周目にペレスにかわされ、すぐにピットへと向かった。
16周目にハミルトン、17周目にランド・ノリス(マクラーレン)、18周目にピアストリが、次々にピットインして行った。ハミルトンのピットイン直前、すぐ前のノリスとの差は3秒5、2番手ピアストリにしても5秒6しかなかった。ところが3台がピットアウトしたあと、ハミルトンとマクラーレン2台、特にノリスとの間には大差が開いていた。
20周目
ハミルトン:何で彼ら(マクラーレン2台)は、僕に9秒のギャップを築いてるんだ?
アウトラップだけでも、ノリスはハミルトンより4秒も速かった。これでノリスは、ピアストリの前に出ることにも成功した。
25周目
ハミルトン:僕はどこでロスしてるんだ。クルマがすごく遅い
ピーター・ボニントン:ストレートとターン11、14だ
マクラーレンに追いつけないことに、焦りを見せるハミルトン。担当エンジニアのボニントンは、主に高速区間でのタイムロスを指摘した。
レース中盤、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)はフェラーリ2台の背後、8番手を走っていた
34周目
クリス・クローニン:フェラーリ勢よりコンマ1秒速いぞ
アロンソ:じゃあ、プレッシャーかけていくか
とはいえアストンマーティンのペースが格段に速いわけではない。結局はアロンソ9位、ランス・ストロール10位に終わった。
一方7番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、すぐ前のサインツに詰まっている状態だ。
41周目
ルクレール:戦略をオフセットした方がいい。今のままじゃ、意味がない
グザビエ・パドロス:こちらでも考えてる。最後にやるから
ルクレール:最後って、なんだよ。どういう意味?
パドロス:検討中だ、了解か?
このふたりのギスギスした関係は、いっこうに改善しているように見えない。
レースは終盤に近づくが、マクラーレン2台には依然として追いつけず。そして背後からは、ペレスが猛然と迫ってきた。
47周目
ボニントン:できるだけ速いペースで行こう
ハミルトン:それで行ってるよ。さっきから言ってるように
2回目のピットインでいったん後退したペレスだったが、46周目には4番手ピアストリを抜き去っていった。
47周目
スタラード:ターン2で押し出されたのか? 十分なスペースがなかったか?
ピアストリ:あまり残してくれなかったね
50周目
ホセ・ガルシア(前パフォーマンスエンジニア):6秒6後ろにペレスだ
ノリス:わかってる、わかってる。今はプッシュしてる最中なんだ
58周目
フェルスタッペン:ターン1のライン以外はタイヤカスだらけだよ。全部取るのに、まるまる1周かかるくらいだ
61周目
ノリス:青旗がいっぱい出てるのに、彼らは譲らなきゃ。何やってんだよ
ペレスに差を詰められ、周回遅れの角田裕毅(アルファタウリ)を抜きあぐねて、ノリスはイライラしている。
64周目
ジョージ・ラッセル:もうタイヤが限界だ。ピットインしようよ
マーカス・ダドリー:順位が下がるからダメだ
しかし終盤65周目にサインツを抜き去って7番手に上がり、気分はすっかり上がったようだ
ラッセル:やったぜ、ベイビー!
チェッカー後
クリスチャン・ホーナー代表:よくやった。通算44勝目で、チームは12連勝だ。歴史を作ったぞ
フェルスタッペン:とんでもない弾丸ロケットだったよ。運転してて、とにかく楽しかった。12連勝、信じられないよ。みんなの誇りだ。ありがとう
ノリス:やったぜ、ベイビー! なんてレースだったんだ! 僕らはもう、そんなに離されてない! このまま行こう
一方、アルファタウリ初レースとなったダニエル・リカルドは、入賞こそできなかったものの、そこそこ満足のいくレースだったようだ。
リカルド:ターン1(の追突)は、残念だった。ペースは悪くなかったけど、学ぶべきことも多い
ピエール・アムラン:最後は最長のスティントだった。素晴らしい
対照的に角田は、最初のソフトをあまりに早く交換したことに、全く納得できていなかった。
角田:なぜ順位を失ったんだ? 最初のソフトをどうして……。でも了解した
スピニ:あとで話し合おう。いいレースだったよ
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