ピレリのフルウエットタイヤについて、F1ドライバーらがさらなる改善を要求「インターより1周6〜7秒遅い」
スパ・フランコルシャンで開催されたF1第13戦ベルギーGPのスプリントレース後に、ピレリはドライバーたちから非難を浴びた。ドライバーたちはふたたびピレリのエクストリームウエットタイヤの性能を批判したのだ。GPDAの理事を務めるジョージ・ラッセル(メルセデス)は、このタイヤを“かなり無意味”で“とてもひどいもの”と評した。
ベルギーGPの金曜日と土曜日、スパでは天候が荒れたため、ピレリはほぼすべてのセッションで雨用のタイヤを投入した。土曜日のスプリントレースの前には大雨が降り、ドライバーたちはセーフティカーの後方で、青いラインの入ったフルウエットタイヤを履いて、短縮されたレースをスタートせざるを得なかった。
しかしながら、半分のドライバーは1周目にインターミディエイトタイヤに交換し、残りの半数はピットレーンの混雑が緩和されてからオープニングラップの後でタイヤを交換した。タイミングに関係なくコースコンディションが大幅に改善したこともあるが、ピレリのフルウエットタイヤの挙動は大きな批判を浴びた。
「セーフティカーの後ろにいるときさえ、オーバーヒートしていた」とアストンマーティンのフェルナンド・アロンソは指摘した。
シャルル・ルクレールは、ウエットタイヤを雨天時のタイヤ選択に含めるのなら、改善が必須であることに同意した。ドライバーたちは、ダンプ状態でもインターミディエイトを選んでいた。
「これには何かしら対応が必要だ。エクストリーム(ウエット)タイヤを履いたらとても遅くなったが、アクアプレーニングにはとても向いていた」
「今のところかなり厄介だ。エクストリームはもっと速さが出るようにして、インターミディエイトに近いものにするべきだと思う。そうすれば、インターミディエイトよりもエクストリームで走ることが多くなるだろう」
ラッセルはエクストリームウエットタイヤについて、意味のないタイヤだと述べた。
「エクストリーム(ウエット)タイヤはかなり意味のないタイヤだ。本当にひどいものだ。インターミディエイトよりもラップあたり6、7秒遅いだろう」
「エクストリームウエットを使いたい唯一の理由は、インターミディエイトだとアクアプレーニングが発生するからだ。だから大幅な改善が必要だ」
「かなり少ない水量でも相当なアクアプレーニングが起こる。古いオンボード映像を見たのを覚えている。2007年(の日本GP)の、富士での(フェリペ・)マッサと(ロバート・)クビサの映像だ。かなりの水があったけれど、彼らはそれでも全開でプッシュしていた」
「ここでFIA F3とフォーミュラ・ルノー時代にミシュランやハンコックのテスト走行をしたことを覚えているけれど、アクアプレーニングは問題ではなかった」
「僕たちが時速200マイル(約時速322km)でうまく走行していることは理解しているし、これは一筋縄ではいかない。でも大幅な改善が必要だ」
昨年、ピレリはより優れたエクストリームウエットタイヤの開発に投資した。しかしピレリのレーシングマネージャーであるマリオ・イゾラは、さらなる改善が必要だと認めている。
「今後、さらにパフォーマンスを改善するためにウエットタイヤに取り組むべきだ」と金曜日にイゾラはスパ・フランコルシャンで語った。
「古いものと比較すると、このウエットタイヤにはすでに改善が見られているが、インターミディエイトに適切に乗り換えるにはまだ少々パフォーマンスが欠けている」
またイゾラはスパ特有の課題について、「コースは長く、セクターやコーナーによって水量が違う」と『The Race』に語った。
「何カ所かは川のようになっている。なぜならここはずっと上り坂と下り坂だからで、このコンディションで溜まり水になっている場所はほどんどない。川のような場所を走り抜けるのなら、インターミディエイトを使うほうがいいだろう。そちらの方が性能が優れている」
「現在分析のためにすべてのデータを収集している。今後のタイヤ開発のために、この2種類のタイヤがどのように挙動するか理解することは有用だからだ」
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