【F1第17戦無線レビュー(1)】アロンソ「僕をライオンの餌にするつもりか?」早めのピットストップが裏目に
2023年F1第17戦日本GP。ポールポジションからなんとか首位の座を守ったマックス・フェルスタッペンと、チーム内で順位が入れ替わったマクラーレン勢の後方では、スタート直後から接触が発生。その後はペースを落とした前走車に苛立つドライバーもいれば、順位の入れ替えを要求するドライバーもあり、各車勝利や表彰台を目指し序盤から激しいバトルが繰り広げられた。日本GP前半を無線とともに振り返る。
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前戦シンガポールGPでの苦戦はなんだったのかと言いたくなるほどの、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の圧勝に終わった今年の日本GP。しかしその後方では、さまざまなドラマが生まれていた。
まずはスタート直後。少なくとも2カ所で、多重事故が発生した。これで早々にセーフティカー(SC)が導入される。
ルイス・ハミルトン:ペレスにぶつけられた!
ダメージを負ったセルジオ・ペレス(レッドブル)はノーズ交換。18番手まで後退した。ルイス・ハミルトン(メルセデス)はそのまま走り続けたが、無傷ではなかった。
ピーター・ボニントン(→ハミルトン):ダイブプレーン(三日月状のプレート)に小さなダメージがある
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)も緊急ピットインに向かった。
ジェームズ・アーウィン(→アルボン):フロアにダメージだ。フロントウイングを1、2ターン調整する必要がある
アルボン:そうだろうね。でも大丈夫、行けると思う
しかしフロアのダメージは予想以上に深刻で、ピットインを繰り返したのちにリタイアとなった。
さらにヘアピンでローガン・サージェント(ウイリアムズ)が止まりきれず、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)にぶつかっていく。
ボッタス:なんてXXX!
5周目
ボッタス:運転不能だ
そのままピットに向かい、リタイア。サージェントも22周目に、リタイアを喫した。
スタート直後にハミルトンにぶつかったペレスは、12周目にはケビン・マグヌッセン(ハース)と接触事故を起こし、5秒ペナルティを科される。
ペレス:またダメージだ
14周目、コース上に散乱したデブリ回収のために、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。周回遅れのペレスのペースが異常に遅く、2番手のランド・ノリス(マクラーレン)が苛立ちを隠せない。
ノリス:ペレスは、何か問題を抱えてるのか? すごくゆっくりなんだけど
ホセ・ガルシア:いろんな問題があってね。もう1回ストップするはずだ
ノリス:僕が抜いていいのかどうか、知りたいんだけど
ガルシア:確認する
ノリス:彼に塞がれてて、5秒ペースが落ちてるんだ
ガルシア:わざとやってるんだよ
ノリス:だと思うけど、ゆっくりすぎる
今回のノリスの担当エンジニアは、再び若手のガルシアに戻っていた。このふたり、今回もしっくり行っていない感じで、それがノリスのイライラに拍車をかけているようだった。
7、8番手からレースをスタートしたハミルトンとジョージ・ラッセル(メルセデス)は、15周目までに5、6番手に上がっていた。ハミルトンに1秒前後まで迫ったラッセルは、順位の入れ替えをそれとなく要求する。
ラッセル:僕らは、誰と戦うんだ? お互いになのか、他の誰かとなのか
しかしチーム側はそれに答えず、ハミルトンは16周目にピットイン。ラッセルはそのまま走り続けた。
ラッセル:プランBを考慮してくれ
ミディアムタイヤの持ちが予想以上にいいという感触を、ラッセルは得たのだろう。1回ストップを自ら申し出たようだ。
一方、10番グリッドのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、スタートで絶妙のライン取りを決めて、一気に6番手にジャンプアップ。ハミルトンに1秒以内に迫られながらも、懸命に周回を重ねていた。するとチームから、「ボックス!」の指示が。アロンソは、これに怒りを爆発させた。
21周目
アロンソ:君たちは僕をライオンの餌にするつもりか? こんなに早くピットインさせて! 信じられない!
12番手まで後退したアロンソは、エステバン・オコン(アルピーヌ)を抜きあぐねる。
25周目
アロンソ:彼はストレートで俺を引き離してる。なんとかしてくれ
チームはアンダーカットを狙って、25周目に2回目のピットインを敢行。その戦略が功を奏し、アロンソはオコンの前に出ることに成功した。
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(後半に続く)
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