フェラーリ代表、モナコでの敗北に”判断ミス”があったと認める「PPスタートなら、最悪でも2位のはず……」

 

 F1モナコGPでフェラーリは、戦略を失敗したことで勝利を失うことになった。チームはこの原因を正確に理解するため、今週中にもファクトリーで詳細を調査する予定であるという。
 モナコGPの決勝レース序盤は、フロントロウからスタートしたフェラーリ勢が1-2体制を築いていた。当時の路面はウエットコンディション。しかし徐々に乾いていく状況にあった。
 そんな中、3番手を走っていたレッドブルのセルジオ・ペレスがいち早く動き、インターミディエイトタイヤに交換。フェラーリはこの2周後に首位走行中だったシャルル・ルクレールをピットインさせるも、コースに戻った時にはペレスに先行されてしまっていた。
 ルクレールが、もしペレスの次の周にピットに入っていれば、ペレスの前のポジションをキープできていたかもしれない。しかし2周遅れでは、簡単にアンダーカットされてしまう……つまり簡単にポジションを明け渡してしまうことになったのだ。これが、ひとつ目の戦略失敗と言われる事象である。
 ただ、戦略ミスはこれだけではなかった。
 ルクレールのチームメイトであるカルロス・サインツJr.は、インターミディエイトタイヤを挟まず、ウエットタイヤのままレースを進めていた。そんな中、後方のマシンの中にはドライタイヤに履き替え、好ペースで走るマシンも出始めていた。
 フェラーリはこの状況を見て、レッドブル勢よりも早めにサインツJr.をピットに呼び戻し、ドライタイヤに交換することを決断した。ただルクレールに対しては「ピットイン、いややっぱりステイアウト!」と指示が混乱。結局ステイアウトを指示された時には既にルクレールはピットレーンに進入していたため、タイヤを交換するしかなかった。しかもまだサインツJr.のタイヤ交換作業が終わっておらず、その後方で待つ必要があった。
 レッドブル勢はその翌周に2台揃ってピットインしたが、ペレスがサインツJr.の前に、そしてマックス・フェルスタッペンがルクレールの前に……それぞれ”オーバーカット”を成功させたのだ。フェラーリからすればアンダーカットにオーバーカットを許してしまい、大きくポジションを落とすことになったわけだ。
 フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットは、フェラーリがいくつかの大きなミスを犯したことを認め、チームにとって今重要なのは、意思決定プロセスでミスが起きた要因を理解することだと語った。
「我々はレースをリード……先頭のポジションにいたということに気付いているのなら、何か間違ったことをしたかもしれないということを認める必要があると思う」
 そうビノット代表は認めた。
「我々は確かに判断ミスを犯し、指示の面でもミスを犯した」
「では我々がミスを犯したプロセスはどういうモノだったのだろうか? 最初のミスは、コース上の位置に関して、インターミディエイトタイヤのペースと、他車とのギャップを過小評価していたということにあったと思う」
「そこで我々はミスを犯した。少なくとも1周早く彼(ルクレール)にピットインの指示をするべきだっただろう。そうじゃなければステイアウトして、ウエットタイヤのまま走ってポジションを守り、ドライタイヤに直接交換するべきだったはずだ」
「我々はミスを犯した。それは間違いのないことだ。でもそれを導いたプロセスはどんなモノだったのだろうか? それを見直し、明確な説明をするためには、もう少し時間がかかるだろう」
 ビノット代表は、今回の結果には他のマシンが影響した部分もあったとしながらも、不運ではなく判断ミスだったと潔く認める。
「いや、不運だったとは思わない。幸運でも、不運でもないんだ。判断を間違っただけだと思う」
 そうビノット代表は語る。
「モナコでレースをリードしたならば、そのリードを維持できなかったとしても、少なくとも2位でフィニッシュする必要がある。(ルクレールが)4位でフィニッシュしたのは、我々が何か間違ったことをしたということを示していると思う。幸運とか不運という問題ではないと思う」
 ポールポジションからスタートしながら4位フィニッシュとなったルクレールは、フェラーリに判断ミスがあったと指摘しつつも、なぜ今回のような結果になったのかをよりよく理解すべく、話し合いが必要であると語る。
「答えは、少し後で分かると思う」
 そうルクレールは語った。
「明らかに、それは難しい状況だった」
「チームとしてはそれを理解するために、今後数日の間に何度も会議を行なう予定だ。したがって今のところ、もう少し話し合い、詳細を詳しく見ていく必要があると思う」
 
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