【角田裕毅F1第12戦密着】十分なスペースを残すも、突っ込んできたオコンと接触・リタイア「予選が好調だっただけに残念」
F1で結果を残すためには、3つの仕事を完璧にこなさなければならない。ひとつは予選。もうひとつはスタート。最後が1周目のポジション争いだ。
F1第12戦フランスGPでアップデートを手にした角田裕毅(アルファタウリ)は、ひとつ目の予選はほぼ完璧にこなして、予選8番手の座を手にした。
日曜日、気温30度という灼熱の太陽の下、8番グリッドにマシンを止めた角田は、コクピットを降りると、グリッド脇で待っていたレースエンジニアのマッティア・スピニとチーフレースエンジニアのジョナサン・エドルズの元へ足を進めた。そこで53周のレースに向けての最終的な確認を話し合い、スタートの時を待った。
しかし、ポイントを獲得するためのふたつ目の仕事で、角田はわずかなミスを犯す。スタート直後の1コーナーへのブレーキングでひとつ後ろの9番手からスタートしていたダニエル・リカルド(マクラーレン)にインに並ばれてしまう。サイド・バイ・サイドで1コーナーに進入した角田だったが、連続する右コーナーでリカルドに前に出られ、ひとつポジションを落としてしまった。
F1でスタートが重要なのは、競り合いに負けてポジションを落とすと、理想的な走行ラインを外して、さらに後続のドライバーからのプレッシャーを受けるからだ。今回のフランスGPでの角田は、まさにその悪循環に陥る。3コーナーから6コーナーでのポジション争いで、今度は10番手スタートのエステバン・オコン(アルピーヌ)が背後に迫る。
バックストレートへ向かう7コーナーでテールにピッタリと付かれたままバックストレートに入った角田は、バックストレートで走行ラインを中央にとってオコンを牽制するが、オコンはイン側をキープ。
しかし、角田の前ではマクラーレンの2台がバトルしており、中央の走行ラインがふさがれたため、ブレーキングで通常の走行ラインに戻った。
「オコンに並ばれて、シケインで十分にスペースを与えたんですけど、コーナーの進入で彼がコントロールを少し乱して突っ込んできました」と言う角田は接触の衝撃でスピン。最後尾までポジションを落としてしまう。
接触の後、スチュワード(審議委員)はオコンに5秒ペナルティを科した。しかし、角田は「彼がほとんどノーダメージで走り続け、ポイントまで獲得したことを考えると、ペナルティは5秒では足りなかったと思う。予選が好調だっただけに残念でならない」と怒り心頭だった。
角田はその後、接触によるダメージがひどくなり、18周目にリタイア。スタートとその直後の1周目の争いでポジションを失った角田は、結果的にポイントだけでなく、レースそのものも失ってしまった。
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