アルピーヌF1代表、“忠誠心がない”ピアストリを強く非難「契約は間違いなく有効。離脱するなら補償金を要求する」

 

 アルピーヌF1代表オットマー・サフナウアーは、育成ドライバーで現在リザーブドライバーのオスカー・ピアストリとの間には隙のない契約が存在すると改めて主張、チームの意向に反して2023年の移籍を示唆したピアストリには忠誠心が欠けていると強く非難した。

 アストンマーティンがセバスチャン・ベッテルの後任としてフェルナンド・アロンソと複数年契約を結んだことを明らかにした後、アルピーヌはアロンソに代わってピアストリを起用することを発表した。しかしその直後にピアストリはSNSを通して契約を否定。「僕はアルピーヌと2023年の契約を結んでいない。来年アルピーヌで走ることはない」とピアストリはコメントした。

 多数のメディアが、ピアストリは2023年に向けてマクラーレンとすでに契約済みであり、マクラーレンは不振が続くダニエル・リカルドとの2023年の契約を解除するために彼と交渉中であると報じた。

『RacingNews365.com』は、FIA契約承認委員会がピアストリとマクラーレンの新たな契約は有効であると判断したと伝えているが、サフナウアー代表はそれを否定する内容の発言をしている。アルピーヌとピアストリの契約は拘束力のあるものであり、これが守られない場合、この問題をロンドンの高等法院に持ち込む可能性があると、サフナウアーはロイターに対してコメントしている。

オスカー・ピアストリ(アルピーヌ)
オスカー・ピアストリ(アルピーヌ)

 サフナウアーは、ピアストリの契約否定発言の後、初めて公の場でコメントし、ピアストリとの契約状況について説明した。

「我々はピアストリとの間に契約を有している。彼は11月にサインした」とサフナウアーはスペインの『El Confidencial』に対して語った。

「弁護士と話したところ、これは拘束力のある契約だと言われた。この契約の一部により、我々は2023年にオスカーを我々のマシンに乗せることができる。そのために(契約発表の)プレスリリースを発行したのだ」

「2024年のオプションも存在し、我々はドライバーを他チームに貸し出すこともできる。我々はフェルナンドとあと1年契約し、2023年にはオスカーを他のチームに貸し出すことを望んでいた。私は記者会見で毎回、ピアストリは2023年にF1で走ると言ってきた。彼は我々のマシンに乗るか、フェルナンドが残留すれば、他のチームのマシンの乗るかのどちらかであることを知っていたからだ」

「アロンソは何らかの理由で──私はその理由を知っているが、これについては本人に聞いてほしい──アストンマーティンに行くことになった。そのため我々はピアストリとの合意をまとめる作業に入り、彼を他のチームに貸し出すのではなく、我々のマシンに乗せることを決めた。そのためにあの声明を発表したわけだ」

2022年F1第7戦モナコGP フェルナンド・アロンソとオスカー・ピアストリ(アルピーヌ)
2022年F1第7戦モナコGP フェルナンド・アロンソとオスカー・ピアストリ(アルピーヌ)

■「育成のために多額の投資。移籍するなら補償を求めるのは当然のこと」とサフナウアー

 2020年からルノー/アルピーヌのサポートを受けてきたピアストリが突然チームからの離脱を宣言したことについて、サフナウアーは、これまで支援のために多額の投資を行ってきたとして、ピアストリはそれに対して忠誠心を示すべきであると批判した。

「(なぜチームを離れるという宣言をしたのかは)ピアストリに質問してほしい。私には理解できない。我々は将来に向けて『100戦プラン』(注:2024年には表彰台の常連になることを目指すプロジェクト)に取り組んでいる。そのなかにはピアストリも含まれている。そのために彼を支援してきたのだ」

「我々は彼の準備を整えるためにまさに何百万ユーロも投資してきた。その事実に対して、それなりの忠誠心を示すべきだろう。だから(彼の今回の発言は)私には理解できない。ピアストリには忠誠心を期待していた。彼をF1に昇格させるためにチームは面倒をみてきたのだ。昨年は(F1参戦への)準備として、サーキットを学習するため、F1カーに乗る機会も提供した。彼はチームに対してもっと忠誠心を示すべきだ」

オスカー・ピアストリ(アルピーヌ)
2021年F1アブダビテスト オスカー・ピアストリ(アルピーヌ)

 サフナウアーは、ピアストリの行動は誠意のないものであり、自分の常識のなかではあり得ないことであると語った。

「私は1989年にF1の世界に入ったが、このようなことを見たのは初めてだ。これはF1だけの問題ではない。ひとりの人間としての誠実さの問題だ。アイスホッケーやサッカーで起きたことがあるかもしれないが、それは関係ない。こんなことはするべきではない。彼は書類にサインした。なのに違うことをすると言っている」

「私が育った環境では、書類にサインをした後に『ここにサインしたではないか。お前は嘘を言っている』などともめるようなことはあり得ない。私にとっては、『助けてくれないか。いずれ私が君を助けるから』と言ったなら、その約束を破ることなどあり得ない。絶対にないのだ」

「頼まれたことをすべてやった。これをやってくれたら自分はこれをやるという約束をしている。その状態で、『この条項により、ここから出ていける』などという書類は、私は必要としない」

 アルピーヌは、もしピアストリがチームから離脱するなら、金銭的補償を求める可能性があると、サフナウアーは認めた。

「昨年彼をシングルシーターに乗せて、3500kmを走らせたことを考慮する必要がある。7回のテストを実施した。かかる費用は決して安くない。エンジンだけで175万ユーロ(約2億4000万円)はかかる。さらにメカニック、テストを管理するチーム、輸送費、旅費などもある」

「将来に向けてピアストリの準備を整えるために、多額の金をつぎ込んだ。その将来が我々とのものでないのであれば、補償を求めるのは論理的であり公平なことだ」

 ピアストリが出て行くことが決まった場合でも、来季ドライバー候補は多数いるとサフナウアーは語った。

「ピアストリは我々のマシンに乗ることになると思うが、乗らない場合でも、フェルナンドが抜けることで、シートに関心を持つドライバーたちから14もの電話を受けている。残りのシートのなかでアルピーヌのシートは最も価値あるものだからだ」

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