PU性能を”限界まで”追求したフェラーリ。信頼性を犠牲に、過去25年で最高の躍進を実現?

 

 フェラーリは過去2シーズン、勝利から離れるなど苦しいシーズンを送っていたが、2022年は立ち直り、開幕戦バーレーンでワンツーフィニッシュ。さらにシーズン前半で計4勝と、常に勝利を争えるだけの競争力を取り戻した。
 フェラーリ復調の鍵となったのは、パワーユニット(PU)の性能向上だ。ここ数年メルセデス、ホンダ(現レッドブル・パワートレインズ)、ルノーPU搭載車との間には大きな性能差があったが、それを埋めることができたのだ。フェラーリPUを使うハースやアルファロメオの躍進も、それを証明している。
 フェラーリのマッティア・ビノット代表は、開幕戦まで今季マシン『F1-75』の実力を知ることができなかったとしつつも、PUに関してはビノットがこれまで見たこともないほど、大きく前進していることが分かっていたという。
「PUに関しては、レギュレーションが一貫していたこともあり、自分たちの立ち位置が分かっていたからある程度分かりやすかった」
 ビノットはmotorsport.comのインタビューにそう答えた。
「PUに関しては、大きな目標を設定した。そして昨シーズン中から2022年に向けた開発で私が目の当たりにした能力は、マラネロでの25年以上の経験の中で、一度も見たことがなかったようなモノだった」
「チームがどれほどの開発能力を持っているかを示したんだ。だからPUに関しては素晴らしかったね」
 新型コロナウイルスの大流行とコスト削減のために開発が凍結された影響で、PU性能が足かせとなっていたフェラーリにとって、今回の前進は大きな意味を持つ。
 特に2020年は影響が顕著で、フェラーリはコンストラクターズランキング6位。大低迷でランキング10位となった1980年以来の低水準となった。これは、FIAがフェラーリの2019年型PUを調査した結果、ルールが厳格化されたことが一因とされている。
 大幅なパワーアップには成功したフェラーリだが、PUの信頼性には難がある。シャルル・ルクレールがトップ走行に2度リタイア。オーストリアGPでも、カルロス・サインツJr.がエンジンブローに見舞われている。
 PUの開発は2022~2025年まで凍結されることになっているため、性能を追求しすぎた結果、信頼性の問題が起きているのかと問われたビノットは、次のように答えた。
「確かに、信頼性よりも性能を優先させることになるだろう。それが何を意味するか。我々のホモロゲーション・プランが不十分だったということだ」
「それ以上に、PUに関しても他のものと同様、ダイノ(ベンチテスト)に時間制限があるんだ。制限のない時期には、シンプルにダイノの時間を倍にして、性能と信頼性の両面について努力をすることができたんだ」
「ダイノタイムが制限されているため、9~12月の時期には自分たちで選択をする必要が出てくるんだ。通常のプランで追求する信頼性も確保できないほど、我々が性能の限界に挑戦しているのは疑いようもない」
「しかし、ギャップを埋めることが重要だということが分かっていた。その後は4シーズン開発が凍結されるんだ。信頼性は、いつでも後から修正することができる」
 ビノットは今季、PUに新たな問題が発生したことを、シーズンを通しての通常のプロセスの一部だと考えている。
「サーキットで発生する不具合は、ベンチで経験するのとは違い、未熟なプロジェクトに経験を積ませるために発生する問題だ」
「製品に関して、シンプルに学習を続けられるベンチと比べれば、サーキットは特殊な場所だ。それは想像できたことであり、あまり驚いてはいない」
 
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