フェラーリ、マシンパフォーマンスの”浮き沈み”がある理由を理解できず「しかし、だからこそF1は興味深い」
F1は2022年シーズンからテクニカルレギュレーションが大きく変更された。そして多くのチームが、マシンのパフォーマンスの浮き沈みを正確に把握することができず、苦しんできた。
フェラーリも今季優勝争いに復活したが、それでもマシンのパフォーマンスをうまく把握できていないようであり「本当に謎だ」と認める。
2022年のF1マシンは、前年までの前後ウイングで多くのダウンフォースを発揮するコンセプトから、フロア下でダウンフォースの大部分を生み出す、いわゆる”グラウンド・エフェクトカー”へと変貌を遂げた。
しかし多くのチームは、好成績を期待して挑んだグランプリで、期待通りの成績を残すことができないことがあったり、逆に予想以上のパフォーマンスを発揮することもあり、パフォーマンスを正確に把握することに苦しんでいる。
フェラーリは今年、それを正確に把握するための答えを追い求めてきたが、やはり他のチームと同様うまくいっていない。最近ではベルギーGPで苦戦したものの、イタリアGPでは力強いパフォーマンスを発揮した。いずれのコースも、最高速が重視されるコースであり、似たような空力設定で走るにも関わらずだ。
チームのシニア・パフォーマンスエンジニアであるジョック・クレアは、チーム内の最高のエンジニアでさえも、なぜこのようにパフォーマンスを安定させられないのか、それを完璧に説明することができていないと認める。
「正直なところ、そういうことを本当に理解していれば、特効薬を手に入れることができただろう」
そうクレアは語った。
「これらのことを解決するのは、本当に難しい」
「レースで本当に良いパフォーマンスを見せているチームと話したり、苦労しているチームと話したりするが、全てのことを解明するには本当に謎が多い。それがこの仕事が単純ではない理由であり、メディアのみなさんも含め、我々全員にとってF1が興味深い理由だ」
スパで苦労し、モンツァで優れたパフォーマンスを完全に説明することができないと認めつつも、クレアはチームがマシンで経験を積み重ねていくにつれ、何が起きているのかを理解し始めていると語る。
「正直なところ、我々は全ての答えを知っているわけではない。スパで何が起きたのかを、まだ正確には理解していないんだ」
「我々にはいくつかの考えがあり、それに基づいて行動していたんだ」
「スパと同じようにダウンフォースの少ないサーキットであるモンツァにやってきた。違いはあるが、スパで何が起きていたのかをある程度理解したように感じる」
「今年の後半には、さらに多くのことが明らかになってくるかもしれない。しかし我々は、学び続けている」
「F1は相対的なスポーツであり、他のチームが何をしているかは分からない。そのため、最善の形で推測しなければいけない部分がたくさんある」
クレアは、グラウンド・エフェクトカーを理解するのが難しいわけではなく、新しいレギュレーションが施行されたばかりであり、各チームがそのルールを完全に理解するためには時間がかかることが、一連の問題に対する最大の要因になっていると考えている。
「レギュレーションが新しいモノになったからだと思う」
そうクレアは付け加えた。
「新しい開発や新しいレギュレーションがあると、急激に学んでいくことになる。誰もが、その急激な学習曲線を辿っている途中だろう」
「我々は今年の初めに、多くの人が『なぜあなたたちの今年のクルマはそんなに速いのか?』と尋ねてきたのを覚えている」
「おそらく我々は、他のチームよりも少しルールに対する理解が進んでいただけだと思う。一方で他のチームは、自分のクルマの立ち位置を把握するだけだった」
「それは、新しいレギュレーションが導入されたことによる、素晴らしいことひとつだ。マシンのパッケージには、明らかに高性能な側面があったとしても、チームがそのマシンを理解し、ドライバーがそれをうまくドライブする方法を理解していく必要があるんだ」
「マックス(フェルスタッペン)やシャルル(ルクレール)、そしてカルロス(サインツJr.)のようなクオリティを備えたドライバーがいると、すぐに乗りこなすことが期待されるモノだ。でも彼らも人間であり、自分自身の才能を引き上げるために日々取り組んでいる。この1年で改善されたはずだ。おそらく彼らは、理解も進めているだろう」
「これらは全て、さまざまな速度、さまざまなタイミングでまとめられていく。チームによっても異なる。そして相対的なスポーツである場合、全ての答えを知ることはできない」
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