”勇気ある開発”の代償。パワーユニットの信頼性に悩まされるアルピーヌ……アロンソは次戦アメリカでPU交換の可能性

 

 アルピーヌのチーフ・テクニカル・オフィサーであるパット・フライは、現在のルノー製F1用パワーユニット(PU)について”勇気ある”開発を推し進めるために、チームは避けられない代償を支払っていると語った。
 ここ数年、ルノーのPUはライバルメーカーに後れを取っていた。しかしこれを解消するため、ルノーはこの冬の間に開発を推し進め、今季は性能が大幅に改善されている。
 しかしその代償として、信頼性が伴っていない。先日行なわれたシンガポールGPでは、フェルナンド・アロンソとエステバン・オコンが揃ってPUトラブルに見舞われ、マクラーレンとの熾烈なコンストラクターズランキング4位争いで手痛いノーポイントに終わった。
 アロンソはおそらく、アメリカGPで新しいPUを投入するために、グリッド降格ペナルティを受けることになるとみられる。一方でオコンは、シーズン終了までペナルティを受けずにレースを戦うことを目指すことになりそうだ。
「初期トラブルは、常にあるものだ」
 フライはmotorsport.comに対してそう語った。
「今年は明らかに多くのことを行なった。膨大な量の変更を行なったんだ。そして過去数年に比べて、パフォーマンス面で大幅に改善している」
「いくつか、素晴らしい仕事が今も進行中だ。しかし、常にパフォーマンスと信頼性の両方を追求することが必要だということを、常に理解していた。それは、前に進むための勇気ある方法だと思うね」
 ただシンガポールで発生したふたつのトラブルは、いずれも異なる原因だったという。
「僕らは、それぞれが異なる問題であり、状況も異なっていることを見つけた」
 そうオコンは語った。
「完走できなかったのは、フラストレーションが溜まることだ。特にレース後半で起きたことだからね。でも最も重要なのは、最終的にはマシンがパフォーマンスを発揮するということなんだ」
「我々は素晴らしいクルマを手にしている。アップデートのいくつかは、うまく機能した。だからマシンに競争力があるんだ」
「僕らは通常の週末を2回過ごせばいいだけなんだ。僕らが持っているマシンでできるだけのポイントを獲得するためにね。それは、可能性を超えているんだ」
「僕が理解しているのは、シンガポールではスタート時にいくつかの問題があり、その後にトラブルが起きたということだ。シーズンこれまでは、エンジンはスムーズに機能していた。だから普通は起きることじゃない」
 フライは、既に原因は究明されており、その修正のための取り組みが現在行なわれていると語った。
「ふたつは異なる問題だった」
 そうフライは語った。
「エンジンは火曜日のお昼頃にファクトリーに戻ってきて、分解されて検証が行なわれた。そしてその修正のために現在取り組んでいる。
「問題は、比較的新しいモノだと思うので、理解する必要があるだろう。根本的な原因を把握するまでは、安心できないからね。適切に分析を行なう必要がある」
 シンガポールの気温や湿気が影響した可能性があるのかと尋ねられたフライは、「今断言するのは時期尚早だ。しかし、そういう可能性があるとは考えにくい。正直に言って、現時点では本当に分かっていない」
 残っているPUをどこまで使うことができるのか、そしてシンガポールで起きた問題が、ライフサイクルを短縮することに繋がる可能性があるのかを検証する必要があるだろう。ただ、チームは最終決定を下していないものの、アロンソはいずれにしても新しいPUを投入することは避けられないように見える。
「問題の原因を正確に理解するまでは、その質問に正しく答えるのは難しいと思う」
 そうフライはPU交換の可能性について語った。
「正直なところは分からない。ただ現時点では、ここ(日本)でペナルティを受けることはないと思う」
「エステバンのPUには、妥当な走行距離がまだ残っている。しかしフェルナンドについては検討しなければいけない。しかし、走行可能距離を短縮しなければならないかどうか、それは分析の結果次第だろう。全ての分析が完了するまで、現時点ではそれを知ることは困難だ」
 オコンは、最終戦までペナルティを受けることなく走り切れることを望んでいる。
「僕は大丈夫だと思う」
 そうオコンは語った。
「シーズン末まで、そうであることを祈っている。でも、計画はすぐに変わってしまう可能性もある。まだどうなるか分からないね」
 
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