クアルタラロ”痛恨”の転倒でランキング2位転落…リンス今季初優勝&マルケス復活2位|MotoGPオーストラリアGP決勝
フィリップアイランド・サーキットでMotoGP第18戦オーストラリアGPの決勝レースが行なわれた。優勝を果たしたのは、スズキのアレックス・リンスだった。
天候の急変が多いことでも知られるフィリップアイランド戦だが、決勝日朝のウォームアップはその影響を大きく受けた。にわか雨によりウエットコンディションでの走行となってしまったのだ。
しかしその後天候は回復し、決勝レースに向けてコースコンディションは回復。結局ライダーとしては決勝に向けた貴重な調整時間を失うだけの結果となってしまった。
予選ではホルヘ・マルティン(プラマック)がコースレコードを更新する速さでポールポジションを獲得。2番手にはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)、3番手にはフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)が続いた。
なおタイトルを争っているアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)が4番手、ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)が5番手とランキング上位陣が2列目までに並んでいる。
気温は15℃と低めだが、路面温度は前日よりも上昇し36℃を記録。これを見てコース上でタイヤチョイスを変更する動きもあった。
全27周の決勝レースは、ポールシッターのマルティンがホールショットを奪って先行。マルケス、バニャイヤ、エスパルガロ、クアルタラロとランキング上位による直接対決の並びが続いた。
そして1周目からランキング上位勢が激しい鍔迫り合いを展開。それを尻目に、先頭のマルティンと2番手のマルケスは抜け出しつつあった。
3周目にはクアルタラロがストレートでジャック・ミラー(ドゥカティ)に追い抜きを許して6番手へ後退。ミラーは母国ファンの応援も勢いに変え、エスパルガロにもアタック。4番手争いのバトルとなった。
6番手を走っていたクアルタラロは、4周目にターン4に向けたブレーキングでマシンが振られて止まりきれずコースオフ。一気にポジションをポイント圏外まで落とすことになってしまう、タイ
トル争いにおいて痛すぎるミスを犯してしまった。
表彰台争いではアレックス・リンス(スズキ)のペースがよく、エスパルガロ、ミラーを続けて攻略し4番手に浮上。バニャイヤにも間髪入れずにアタックをかけ、9周目のターン2でインを突いて3番手に浮上した。
10周目、ターン4でアレックス・マルケス(LCRホンダ)とミラーがクラッシュ。アレックス・マルケスが止まりきれず後方からミラーに追突した形で、ミラーにとっては”貰い事故”で、母国戦を終えることになってしまった。
レース3分の1を消化した段階で、トップを走るのは変わらずマルティン。ただ後方からはリンスの勢いが良く、着実に迫ってきていた。リンスは11周目のホームストレートでマルケスをオーバーテイク。これで2番手に立つと、マルティンへのプレッシャーを強めていった。
その後方ではクアルタラロがターン2で痛恨の転倒。猛プッシュでポイント圏内まで舞い戻っていたものの、これでノーポイントが確定してしまった。
先頭争いは14周目に大きな動きがあり、リンスがマルティンを追い抜いてトップに浮上。さらにホームストレートに戻ってくると、バニャイヤが一気にトップを奪い、リンスとマルケスを加えた3台が優勝を争う展開となった。
一度バニャイヤが先頭に立つと、彼は他車を突き放すまではいかないものの、トップで集団を牽引し続けた。2番手争いではマルケスが後退し、リンスがバニャイヤを追った。
20周目、粘り強くバニャイヤを追っていたリンスがついにオーバーテイク。しかしドゥカティの強烈なパワーもあり、ホームストレートで再びバニャイヤが先頭に復帰。さらに同じくドゥカティ陣営のマルコ・ベッツェッキ(VR46)が2番手に浮上した。
バニャイヤ、ベッツェッキ、リンス、マルケスの先頭4台は団子状態でバトルが継続。2番手のベッツェッキはベテランを抑えきれず、残り3周で4番手に後退することになった。
そして最終ラップ、リンスがホームストレートでスリップストリームを活かしてバニャイヤに迫るとターン2でイン側をキープしオーバーテイク。マルケスも続けざまにバニャイヤを追い抜いていった。
トップに立ったリンスはマルケスの追撃を受けながらも、インを塞いで防ぎトップチェッカー。スズキ、そしてリンスにとって今季初優勝となった。
2位はマルケスで、彼も今季初表彰台だ。今年は右腕骨折の状態が悪く再手術を決断し長期欠場が続いていたが、6度王者の完全復活を印象付ける結果と言えるだろう。
そして3位はバニャイヤだ。クアルタラロがノーポイントに終わったこともあり、バニャイヤはタイトル争いで首位に浮上。ランキング2番手のクアルタラロに14ポイント差、ランキング3番手のエスパルガロに27ポイント差とした。
なおオーストラリアGP”らしく”と言えるかは微妙なところだが、表彰式では同国出身のミラーがパドックに広めた『ブーツでシャンパンを飲む”シューイ”』をリンス達3人で披露していた。
2022年シーズンのMotoGPは残すところあと2戦。次戦マレーシアGPではバニャイヤやクアルタラロのフィニッシュ位置次第だが、バニャイヤの初チャンピオン決定の可能性がある。
中上貴晶(LCRホンダ)の代役として出場した長島哲太は、19位でフィニッシュ。MotoGPクラス初のフィリップアイランドを無事に完走した。
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