ルクレール、F1アブダビGPではビノットの将来に関する噂に悩まされたと明かす「外部からのプレッシャーが多かった」

 

 フェラーリのシャルル・ルクレールは、マッティア・ビノットのチーム代表としての将来に関する噂が渦巻いていたため、アブダビでの2022年最終戦に集中するのが困難だったことを認めている。

 イタリアのメディアは、フェラーリのシーズンが多くのミスや災難、技術トラブルなどに満ちた不本意なものになった責任を取って、ビノットが辞任するものと報じてきた。当時フェラーリはその憶測を否定したが、金曜日にビノットがフェラーリのジョン・エルカーン会長に辞意を伝えたことが明らかになった。

 そして11月29日、フェラーリは声明を発表し、フェラーリがビノットの辞任を受け入れ、彼が12月末でマラネロを去ることを認めた。後任者は現在選考中であり、新年に発表されるということだ。

「(アブダビの)週末に入る時は本当に大変だった」とルクレールは先週報道陣に認めた。

「外部からの多くのプレッシャーがあり、チームにはあらゆるうわさが飛び交っていた。こうしたことすべてを取り除いて仕事に集中するのは、いつもとても難しいことだ」

「でも僕たちはそれを完璧にこなしたので、チームのことをとても誇りに思っている」

シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2022年F1第22戦アブダビGP 2位に入賞したシャルル・ルクレール(フェラーリ)

 ルクレールは終盤に調子を取り戻したが、シーズン半ばのチームの不振について次のように語った。

「一歩下がって昨年からの歩みを考えてみれば、素晴らしい進歩だ」

「でももちろんシーズン中盤を無視することはできない。本当に苛立たされた、僕たちは多くのポイントを獲得してチャンピオンシップをリードしていたのに、かなりのポイント差をつけられて後退してしまった。シーズンのなかでもフラストレーションが溜まった時期だ」

 ドライバーズ選手権のタイトルは10月に日本GPで決定したが、ルクレールはそれからも選手権2位を維持するための戦いを続けていた。アブダビGPに臨む際にはレッドブルのセルジオ・ペレスと同ポイントだったが、ルクレールはペレスを下して2位でシーズンを終えた。またフェラーリはコンストラクターズ選手権2位の座をメルセデスとも争っていたが、この戦いにも勝利した。

 2位はしばしば“敗北者のひとり目”として軽んじられることがあるが、ルクレールにとってはそれ以上の確かな意味があった。

「チームにとって大きな意味があると思う。2020年と2021年に僕たちがどれだけ苦戦したかを考えると、ようやくコンストラクターズ選手権で2位になれたことには重要な意味がある」

 その時点でルクレールは、2022年を締めくくり、来年フェラーリが何を達成できるか期待していくことにしていた。

「ここで止まりたくはない。2位は良い順位だが、僕たちはできるだけ早く1位になるためにできるかぎりのことをして戦っている」

「いい一歩を踏み出した。でも理由は明らかだが、不満の募る年だった。みんなで次のステップを踏み出し、レッドブルを打ち負かすために冬休みの間に懸命な作業をするつもりだ」

「今年犯したすべてのミスを受け入れて、来年のために改善する必要がある。最近の数戦では、戦略と判断の仕方について僕たちは進歩した」

シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2022年F1第22戦アブダビGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 ビノットの辞任が次のステップにどのような意味をもたらすかは現時点では不明であり、後任のチーム代表次第だ。報道では、ビノットがチームリーダーとして「責任を負わない」アプローチを取っていたことにルクレールは不満だったと伝えられた。ルクレールは状況が変わらなければ、おそらくはメルセデスなど、他チームへの移籍を考えていたという。

 ルクレールのフェラーリとの現契約は2024年まで残っているが、それ以降もチームに残るかどうかは非常に微妙なところのようだ。イタリアのF1サイト『formulapassion.it』は、現在アルファロメオF1チームの代表を務めるフレデリック・バスールがフェラーリの指揮を執るのなら、ルクレールはチーム残留に気持ちが傾くだろうと示唆している。バスールとルクレールは、2018年にルクレールがザウバーからF1デビューを飾って以来、強い絆で結ばれていた。

 バスールがチーム代表を引き継ぐのなら、ルクレールは現在のチームメイトのカルロス・サインツを差し置いてチームのナンバー1ドライバーになる可能性が高い。

「今ではF1に来てからかなりの年月が経っているので、さらに細部を把握して、できるだけ100%の力を発揮できるようにすることが重要だ」とルクレールは語った。

「来年僕が集中するのは、100%でいることだ。そしていつでも100%の力が発揮できるという自信が持てたら、僕はかなりのものだ」

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