F1を目指したV12エンジン『HKS 300E』も。東京オートサロンでHKSが創業50周年の記念展示
1月13日から、千葉県の幕張メッセで開催されている東京オートサロン2023。西ホール1に出展しているHKSは、ブースの半分を使って創業50周年を記念し、その軌跡と未来を体感できる『HKS 50th MUSEUM』を設けているが、チューニングファンはもちろん、モータースポーツファンにとっても興味深い展示がある。
HKSは1973年、長谷川浩之氏が静岡県富士宮市に創業した。長谷川氏はトヨタ7の開発にも携わった人物で、コスワースやハートのようなエンジンビルダーを志しレース用エンジン、エンジンパーツの開発・製造及び販売を目指した。
その名のとおりレース用エンジン開発やターボキットの開発・販売を手がけ、その後もマフラーやサスペンション、エンジンオイルなど、チューニングカー界で世界的なメーカーとして成長していくことになるが、その開発も兼ね、モータースポーツ活動にも積極的に取り組んできた。
今回の東京オートサロンで展示されている『HKS 50th MUSEUM』では、その活動の一端を知ることができる。特にモータースポーツファンにとって観ておきたいのが、グループA時代の1992〜1993年に活躍したR32スカイラインGT-R、そして1992年に実走テストを行った“幻の”F1エンジン、300Eだ。
この300Eは、HKSが自社の技術力をアピールするべく開発したもので、F1ブームが到来していた1990年代初頭のホンダ、ヤマハ、スバル-モトーリ・モデルニ、いすゞといった日本製F1エンジンの登場に続くべく名乗りを上げた3.5リッターV12エンジンだ。
300Eとともに展示されている黒いフォーミュラは、300Eの実走テストに使用されたF3000用のローラT91/50改。ヨコハマが用意したF1スペックのタイヤを履き、富士スピードウェイで茂木和男の手によりテストが行われている。ちなみに、300Eは1992年の東京オートサロンでも展示されているという。
残念ながら300Eはいくつかの興味を惹きながらも実際にF1を戦うことはなかったが、HKSの歴史にとって欠かせないエンジンとも言える。チューニングパーツの歴史も非常に興味深く、オートサロンではぜひ観ておきたいブースのひとつだ。
参考文献:レーシングオンNo.437
https://www.as-books.jp/books/info.php?no=RON20090301
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