MotoGPポルトガルFP2|KTMのミラー、初日総合トップタイムをマーク。 エスパルガロ弟が転倒で負傷し赤旗中断も発生

 

 アルガルヴェ・サーキットで開催されているMotoGP開幕戦ポルトガルGP。初日午後のプラクティス2が行なわれ、KTMのジャック・ミラーが総合トップタイムをマークした。
 MotoGPは2023年シーズンから、最高峰クラスの全戦でスプリントレースを導入。レースウィークのスケジュールもそれに伴って一部変更を受けており、従来のFP2にあたるこのセッションは15分間延長されて計60分間行なわれる。
 また、このプラクティス2がスプリント、決勝レースと近い時間帯で行なわれる唯一のプラクティスとなる。そのため、これまで以上に重要性が増してきているセッションと言えるだろう。
 なおスプリントと決勝レースのグリッドを決める予選の組分けも、初日のフリー走行総合タイムで決定される形に変更されているため、終盤は激しいアタックが繰り広げられることが予想された。
 プラクティス2は気温23℃、路面温度33℃のコンディションでスタート。各ライダーが一斉にコースへ向かった。
 セッション開始から5分が過ぎた頃、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)が1分38秒838のタイムをマーク。既にプラクティス1のトップタイム(1分38秒782/アレックス・マルケス)に迫る速さだったが、これは後にトラックリミット違反で削除されてしまった。
 そして残り45分でレッドフラッグが掲示された。これは技術的な問題によるものとされており、大きなクラッシュなどが原因ではなかった。
 レッドフラッグは約25分ほどで解除。コースへなだれ込んでいくライダー達だったが、マルコ・ベッツェッキ(VR46)、アウグスト・フェルナンデス(GASGAS)と立て続けに転倒が発生し、イエローフラッグが振られる事になった。なおどちらも怪我は負っていない。
 2022年王者であるフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)はレッドフラッグ解除後に徐々にペースアップ。1分38秒798まで自己ベストを更新し、総合2番手まで浮上した。
 マーベリック・ビニャーレス(アプリリア)もテストからの好調が続いており、バニャイヤを上回る1分38秒785をマーク。なおアプリリアは今回、プレシーズンテストで話題となったフロントフォークに装着するタイプの新ウイングは使用していない。
 残り25分、ここまで苦戦している様子だったマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)が一気に1分38秒665まで自己ベストを更新。暫定トップに躍り出た……と思いきや直後にホルヘ・マルティン(プラマック)が1分38秒370をマーク。これはアルガルヴェ・サーキットでのレコードタイムを更新する速さだ。
 なおバニャイヤがターン15でフロントを切れ込ませて転倒寸前となってしまうが、かつてのマルク・マルケスばりのリカバリーで事なきを得るシーンも見られた。
 セッションが残り時間20分を切ると、徐々にアタックへ向かうライダーが増加。ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ)、アレックス・マルケス(グレシーニ)、ヨハン・ザルコ(プラマック)が次々とタイムを更新されていく。そして、このタイミングでアレイシ・エスパルガロが1分38秒253をマークして暫定トップタイムを更新した。
 ただ、残り14分にポル・エスパルガロ(GASGAS)がターン10で激しく転倒。2度目のレッドフラッグとなり再びセッションが中断された。ライダーの意識はあると通達されていたものの、ポル・エスパルガロはすぐに搬送されず、暫くの間コース内で救護措置がとられた。救急車でコース外へ運ばれた彼は、背中と胸の外傷のさらなる検査のため、病院へ搬送された。
 ポル・エスパルガロの搬送後、MotoGPはセッションを残り14分で再開。大きなアクシデントの後ではあるが、ライダー達は一斉にコースへ向かい、予選Q2への直接進出を目指して改めてアタックへ繰り出していった。
 残り8分、マルティンが1分37秒台のタイムをマークし暫定トップに浮上。さらに争いのレベルを引き上げてきたが、バニャイヤも1分37秒856とそれを超えるタイムを記録し、ドゥカティ・ファクトリーチームの威厳を見せつけた。
 ただその次のラップでトラブルが発生したのか、バニャイヤはコース脇でバイクをストップ。再始動を試みるも上手くいかず、マシンを押してピットへ戻ることになってしまった。
 バニャイヤの記録したタイムはなかなか更新されなかったが、残り3分でジャック・ミラー(KTM)が1分37秒709をマーク。一気に自己ベストタイムを更新して暫定トップに立った。
 結局、その後ミラーのタイムが更新されることはなく、彼が初日総合トップタイムとなった。KTM移籍後ここまでなかなか光る走りを見せられていなかったが、予選に向けて期待の高まる走りだったと言えそうだ。総合2番手はビニャーレス、総合3番手はバニャイヤとなっている。
 以下予選Q2に直接進出となる総合トップ10は、ルカ・マリーニ(VR46)、マルティン、クアルタラロ、ザルコ、ベッツェッキ、アレイシ・エスパルガロ、エネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)までとなっている。
 ホンダ勢はミルの12番手が最上位と、4台とも予選はQ1から臨むことに。セッション最終盤で転倒のあったマルク・マルケスは14番手、日本人ライダーの中上貴晶(LCRホンダ)は15番手だ。
 ポルトガルGP2日目、MotoGPクラスは日本時間19時10分からフリープラクティスを実施。その後予選が行なわれ、深夜0時に初のスプリントレースが実施される予定だ。
 
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