フェラーリF1代表「メキースの移籍を阻むつもりはない」と明言も、合意完了前のアルファタウリの発表を批判

 

 スクーデリア・アルファタウリが、フランツ・トストの後任として、フェラーリでレーシングディレクターを務めるローレン・メキースがチーム代表に就任すると発表したことを受けて、スクーデリア・フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは、親しい間柄にあるメキースが大きなチャンスをつかむのを邪魔するつもりはないと語った。一方で、フェラーリとメキースは長期契約を結んでおり、離脱について詳細においてまだ合意に至っていない部分があると述べ、その段階でアルファタウリが発表を行ったことへの不満も示した。

 4月26日にアルファタウリは、2023年末でトストが退任すること、後任はメキースが務めることを発表した。メキースの加入時期については明かされていない。

 バスールは、長年の友人であるメキースのキャリアの邪魔をするつもりはないと明言した。そして、「これから詳細について話し合う」と述べ、離脱に向けた交渉が終了してはいないことも明かし、その段階でアルファタウリが発表を行ったのは「強引」であると述べた。

フレデリック・バスール(フェラーリF1代表)
フレデリック・バスール(フェラーリF1代表)

「まず第一に、これはローレンにとって非常に大きな機会だと思う。私と彼とは良好な関係であり、ローレンの動きを妨げるつもりはない」とバスールは、アゼルバイジャンGPを前にした木曜日にバクーでコメントした。

「時系列に関して言うなら、トロロッソ(アルファタウリ)は、プレスリリースに関して少し強引だったと思う。我々はローレンと長期契約を結んでいるため、これから詳細について話し合う必要があるだろう」

「フェラーリにとって最善の方法を見つけなければならない。そして、彼が我が社から去る時期、トロロッソに移る時期に応じて、協力関係を終える時期を決定する」

「私はそれに関して心配していない。関係は非常に良好なので、適切に実行することができるだろう。完全にローレンの立場になって考えることができる。この世界でチーム代表になるという機会を断ることは不可能だと思う」

「だが私は、フェラーリの利益を守るためにここにいる。フェラーリを最優先しており、それは常に変わらない。従って、条件について話し合う必要があるのだ」

 メキースは、現場でのオペレーションに加え、FIAとのコミュニケーションに関する責任も担っており、彼が離脱すると、フェラーリの組織に大きな穴があくことになる。バスールは、現在、チームの組織再編成に取り組んでおり、今後、メキースの不在を考慮してそのプロセスを進めていくことになると語った。

ローレン・メキース(フェラーリ レーシングディレクター)
ローレン・メキース(フェラーリ レーシングディレクター)

「彼が抜けた後の穴は大きい。それは我が社の再編成の一部に組み込まれるだろう。このプロセスは長く、時間がかかる。現在、多くの人材を募集している。じきに名前が明かされることになると思う」

「これは再編成の一部になる。他のチームも行っているように、ひとつの仕事をふたつのポジションに割り振ることもできる。再構築の一部となるのだ」

 今年、ビークルコンセプト責任者を務めたデイビッド・サンチェスがフェラーリから離れ、マクラーレンに移籍することが決まった。しかしバスールは、2人のスタッフを失うことが大きな問題につながることはないとして、「1600人のなかの2人を失うことはドラマではない」と語った。

「個人よりも、チームの力、グループの力の方が、常に重要だ。グループが最も重要であるということを、心にとめる必要がある」

「ローレンの能力について否定的なことを言うつもりは一切ないが、チームには1000人以上の人間が存在し、そのなかの2人に関して話しているということをはっきりさせておきたい」

「もちろん個人は重要だが、グループの方がはるかに重要だ。我々は、個人ではなく、グループにおいて、築き上げていく必要がある」

2023年F1第3戦オーストラリアGP カルロス・サインツ(フェラーリ)
2023年F1第3戦オーストラリアGP カルロス・サインツ(フェラーリ)

「ローレンは、移籍することを決めた。繰り返しになるが、彼の決断を、私は100パーセント尊重する。これは大きなチャンスだと思うからだ。だが、中期的に見て、このことがフェラーリの発展に影響を与えることはないだろう」

「1000人以上従業員がいて、離職率が6~7パーセントの場合、一年に約100人の人間が退社し、入社していることになる。ただ、(外部の人々から)注目されるのはそのなかのひとりかふたりだ」

「一年に100人が新たに加わり、そのうち半数は他のチームから、残りの半数は他の業界から移ってくる。(メディアは)名前に注目しすぎることがある」

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