F1マイアミGPのセレモニーで使われた“インディ500の愛称”にIMS側が不快感「我々のものを盗まないで」

 

 先週のF1第5戦マイアミGPでは、F1とインディカーの間でトレードマークについて少しの緊張が走った。F1は大胆にも、インディカーの神聖なる愛称である“グレイテスト・スペクタクル”を借用したのだ。

 進行役を務めたLL・クール・Jが、F1を“ザ・グレイテスト・スペクタクル・イン・レーシング”と呼んで、ドライバー紹介の前に観客を沸かせた時に、このスローガンについてのいざこざが起きた。この主張はインディアナポリス・モータースピードウェイの誇り高きオーナーたちには通じなかったのだ。インディ500は長い間“ザ・グレイテスト・スペクタクル・イン・レーシング”として称賛されてきており、この呼び名は1911年以来象徴的なブリックヤードで開催されているインディ500の代名詞となっている。

 そのため、マイアミGPを宣伝するのにF1がこのスローガンを借用した時、スピードウェイのオーナーたちは感心しなかった。これは初めてのことではなく、今年初めにリバティ・メディアが今年11月のラスベガスGPのメリットを誇示した時にもこのスローガンが使われていたのだ。

2023年F1第5戦マイアミGP 決勝レース前に行われたセレモニーの進行役を務めたLL・クール・J
2023年F1第5戦マイアミGP 決勝レース前に行われたセレモニーの進行役を務めたLL・クール・J

 何と言ってもこのスローガンには、インディ500の豊かな伝統と、他に類を見ない興奮が詰まっている。インディ500は伝統の域に達しており、世界中のレース愛好家たちが大切にしているものだ。

 F1の大胆なスローガンの流用は、新人のミスのように見えたが、F1はこの言葉に対するインディの独占権を見落としただけでなく、議論を引き起こした。今年3月にF1の最初の失敗があり、インディカーとインディアナポリス・モータースピードウェイを運営するペンスキー・エンターテインメント・コーポレーションのCEOを務めるマーク・マイルズは、リバティ・メディアに丁重な書簡を送り、一部のタイトルは非常に象徴的であるために、その重要性を考えずに借用することはできないことをF1に認識させた。

 マイルズは、「彼らは『そんなことをするつもりはない』と言った」と語ったが、先週日曜日にマイアミで、LL・クール・Jが声高にあの言葉を使った時、マイルズはあっけにとられて目を丸くした。

「私はあれを聞いたよ」とマイルズは月曜日に『IndyStar』に語った。

「そして『レースファンはあれがたわ言だとわかっているだろう』と思った。『グレイテスト・スペクタクル・イン・レーシング』はまさにここ(IMS)で5月に開催される。あらゆる意味でね」

「そしてこうしたこと(潜在的な商標侵害)は続かないと期待している」

「ラスベガスのあちこちでイベントが開催された時、彼らとは少し会話をしたが、非常にカジュアルで短いものだったので、(日曜日には)驚かされた。だがこれが彼らの一般的な仕事のやり方だとは考えていない」

 マイルズは、F1の不手際は、指揮系統の下のレベルにいる誰かによるものではないかと疑っていた。

「マイクで話される内容のライティングを行っている担当者が、組織のどこに属しているのかは知らないが、(F1の会長兼CEOであるステファノ・ドメニカリほどの)上層部がやっていることだとは思わない」

 今週、ポッドキャスト『Best of Monday』で、IMS会長のダグ・ボウルズは、ペンスキー・エンターテインメントの関係者がふたたびリバティ・メディア幹部に連絡を取り、改めて懸念を表明するだろうと述べた。

「問題というのは、より具体的にはベガスに関することだった」とボウルズは述べた。「マイアミに関する話を聞いたのはこれが初めてのことだ」

「だから間違いなく我々は、F1にいる友人たちにまた連絡をするようになるだろう」

「彼らのマーケティング資料では目にしたことがない。彼らはあれが彼らの商標ではないことに同意しているので、そのままにしてくれるだろう。今週フォローアップを行うつもりだ」

「ここにF1がやって来たことには興奮しているが、自分たち自身の知的財産と114年間の歴史を築き上げて、我々のものを盗まないでほしいものだ」

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