アストンマーチンF1代表、ホンダとの提携を歓迎「彼らのオープンな姿勢に、感銘を受けた」。「アロンソが乗らない理由はない」とも語る

 

 アストンマーチンF1のチーム代表を務めるマイク・クラックは、2026年からパートナーシップを組むことが決まったホンダについて、これまで話し合ってきた中での、非常にオープンな姿勢に感銘を受けたと語った。
 ホンダは5月24日に東京で記者会見を行ない、2026年からアストンマーチンとパートナーシップを組み、正式にF1復帰することを発表した。会見にはチーム会長のローレンス・ストロールと、アストンマーチン・パフォーマンス・テクノロジー・グループCEOのマーティン・ウィットマーシュも参加する、非常に力の入ったモノだった。
 アストンマーチンなどF1チームが拠点を置くヨーロッパと、ホンダの拠点である日本では、働き方や文化が大きく異なり、それが障壁になることが多いと言われることがある。実際、2018年からホンダと組んだトロロッソ(現アルファタウリ)は、日本文化を理解することに大きな努力を払ったという逸話が残っているほどだ。
 クラック代表はこの日本の文化について、それほど心配していないと言う。
「基本的に、世界は近付いてきたと思う。15年前に日本に旅したことを覚えていると思うが、今行くのとはまるで違う。世界全体が近付いたと思うんだ」
 そうクラック代表は語る。
「仕事上での人間関係は、最近ではずっとずっと楽になった。我々は日本文化をより理解するようになった。そして日本人も、ヨーロッパや西洋の文化をよりよく理解したはずだ」
「そしてこれまで行なってきた会議では、彼らのオープンさについては非常に感銘を受けたと言わざるを得ない。それは20年前や25年前に考えていたモノとは、大きく異なるんだ」
 現在アストンマーチンでテクニカルディレクターを務めるダン・ファロウズは元レッドブルの空力責任者であり、ホンダと仕事をした経験がある。またウィットマーシュも、マクラーレン時代にホンダとの交渉をまとめた人物である。このふたりの存在も大きいとしながらも、ホンダと仕事することに問題はないと、クラック代表はさらに強調する。
「ダンやマーティンとの関係が助けになっているのは明らかだ。彼らは顔見知りだし、ホンダのことをよく知っている」
「でも全体的に、これまでのアプローチとコラボレーションは、非常にオープンで透明性が高かったと思う。そして今後仕事をしていくことを本当に楽しみにしている」
 クラック代表は、ホンダという”ワークスパワーユニット”を手にすることは、2026年以降のF1では非常に重要になるはずだと語る。
「2026年のパワーユニット(PU)のレギュレーションと、そこから派生するシャシーのレギュレーションを見ると、完全に統合されなければいけないことが分かる。昨年の2月から、すでに何度かワークショップやワーキンググループが開催されているんだ」
 そうクラック代表は言う。
「レギュレーションに適したシャシーを設計するためには、PUとの統合をますます進めていかなければいけないんだ」
「ワークスチームだったり、(いずれかのPUメーカーと)ワークス協定を結んでいれば、その点について有利になれる。エネルギーをマネジメントする上で、正しい目標を設定するためにどんな空力構成にする必要があるかなど、多くの情報をより早く得る必要があるんだ。新しいレギュレーションに取り組む上では、こうしたこと(ホンダとパートナーシップを結ぶこと)は大きな資産であり、大きなアドバンテージなんだ」
 そして持続可能燃料の使用も2026年から義務付けられるため、パートナーのアラムコとの協業も重要になるとクラック代表は語る。
「持続可能燃料が導入されるために、アラムコとの協力関係は、より緊密になるだろう。彼らは、持続可能燃料の開発においても、世界をリードしている」
「この部分は非常に重要な側面であり、ホンダ、アラムコ、アストンマーチンの今回のコラボレーションにおいて、忘れてはいけない部分だ」
 なお現在アストンマーチンのドライバーを務めるフェルナンド・アロンソは、かつてホンダのPUを搭載していたマクラーレンのドライバーを務めていた際、「GP2エンジンだ」とホンダPUを揶揄したこともあり、ホンダのPUを積むアストンマーチンのマシンをドライブできるのかどうか、まだ3年先の話ながらも、注目が集まっている。ホンダの三部敏宏代社長は「過去の話は過去の話として捉えています」と語り、アロンソがドライブすることになっても問題ないと語った。
 クラック代表もこれについて、次のように語った。
「2026年に彼が我々のマシンに乗るべきではないと考える理由はないと思う。つまり、彼が乗らない理由はひとつも見当たらないよ」
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