F1分析|現代F1マシンはモナコにとってデカすぎる? マシンの大きさがオーバーテイク回数に与える影響とは

 

 70年以上に渡り、基本レイアウトを変えずにF1カレンダーに残るモナコGP。歴史や豪華絢爛さが注目を集める一方で、レースそのものやオーバーテイクに関して、現代のF1マシンには不向きだと批判されるようになっている。
 確かに、狭く曲がりくねったモンテカルロ市街地サーキットでオーバーテイクを成功させるのはリスクは高く、ドライバーの小さな判断ミスが激しいクラッシュに繋がる可能性が大きい。
 F1マシンがそれほど大きくなかった時代からモナコは”抜きにくいサーキット”と評価されてきたが、近年のマシンの大型化に伴って状況はさらに悪化している。
 20年前のF1マシンは全長約4.5m、全幅約1.8mで、当時としてもモナコで2台のマシンが並走するのは難しかった。その後、様々なレギュレーション変更により、マシンの全長は5.5m、全幅は2mを超えるようになった。
 3度のF1チャンピオンであるネルソン・ピケは、モナコGPを「リビングルームで自転車に乗るようなモノ」と評したが、今では「バスルームで戦車を操るようなモノ」と言えるのかもしれない。
 F1マシンがこれほどまでに大型化したのは、パッケージングと空力が主な原因である。空力の専門家たちが、マシンのフロアを長くした方がダウンフォースの発生量が大きくなることを発見し、ホイールベースは年々長くなっていった。そして車体が大きくなるにつれて、ボディワークを細くしようと内部の配置が変更され、マシン後方には”コークボトル”のように絞られたセクションが作られた。
 そして2017年のテクニカルレギュレーションの変更が、マシン大型化に拍車をかけ、20年近く約1.8mだった全幅が約2mへと拡大された。レギュレーション変更の意図は車速向上にあったが、その代償としてコース上での接近戦を行なうことが難しくなった。
 2022年のレギュレーション刷新は、2017年の変更で難しくなった接近戦を改善すべく施行されたが、ワイドなマシンであることに変わりはない。そして1シーズンに渡って行なわれたマシン開発によって、接近戦の改善という当初の目的は薄れてしまった。
 F1がモナコの限界を超えてしまったと考えることもできるが、それは単に認識の違いかもしれない。結局、マシンがかなり小さくなっても、モナコがカレンダーに載ることを疑問視する人は少なくないだろう。
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