F1第9戦木曜会見:角田「ペナルティを受け入れるしかない」FIAと話し合い見解を理解。今後もアプローチは変えず

 

 カナダGPでは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が通算7勝と圧倒的な勝利数を誇っている。現役ドライバーで他に優勝経験があるのは、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だけだ(共に1勝ずつ)。

Q:ルイス、あなたは2007年にF1初勝利を挙げて以来、ここカナダで7勝と驚異的な記録を持っています。この地の魅力は何でしょう?
ハミルトン:僕たちF1ドライバーの好きなサーキットのひとつであることは確かだね。街自体も美しいし、観客も素晴らしい。コース自体、長い長いストレートがありながら、縁石を乗り越えてクルマを走らせるというゴーカートコースに近いものがある。何よりここはいつも、僕と相性がいい。ハードブレーキングが要求されるサーキットで、若い頃から得意だったしね

 一方で2021年12月のサウジアラビアGP以来、ハミルトンが勝利から遠ざかっていることも事実だ。

Q:ルイス、最後の勝利から1年半が経ちました。これまで多くの勝利を手にしてきただけに、次の勝利を手にするのは精神的にどんどん重くなっているのでは?
ハミルトン:いや、その種の重さは感じない。厳しい状況を何度も乗り越えて、その上に立ってきたからね。前回のスペインにしても、僕たちは勝者のように感じることができた。ふたりのドライバーが表彰台に並んだことは、チームにとってほとんど勝利と同等だったから。そして僕たちは今も、集中し続けている。僕たちを導いてくれる北極星があるから、どこに行くべきかわかっている。どうすればそこにたどり着けるのか、すべてを知っているわけではないけれど、いつかはたどり着けることはわかっている。素晴らしいスタッフたちと、コツコツと努力を続けるだけだ

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2023年F1第9戦カナダGP FIA会見 ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 前戦スペインGPでは、角田裕毅(アルファタウリ)の5秒ペナルティも大きな話題となった。

Q:ユウキ、スペインではレース直後に、5秒ペナルティで動揺していましたね。あの週末、何を学んだといえますか? 今後、これと同様のホイール・トゥ・ホイールのレースになった場合、何か違うことをするのでしょうか?
角田:今も納得はしていませんが、何も変えることはできません。結局、FIAが決めたことですし。実は今日の午後もFIAと話をして、彼らの見解は理解できました。でもそれ以上、何も言うことはありません。今後も、僕は自分のアプローチを変えるつもりはありません。限界の範囲内で、できる限りのディフェンスをするつもりです。あのレースでは十分に限界内だと思ってましたが、最終的にポジションを守りきれなかった。今後はその部分を、もう少し改善させていこうと思ってます。どんな状況でも、改善の余地はあるわけですし。今も(あの裁定は)かなり厳しいと感じてますが、受け入れるしかないですね。

Q:今週末はどうでしょう? ジル・ビルヌーブ・サーキットが鈴鹿に似ているというコメントを読みましたが、興味深い比較だと思います。もっと教えてください
角田:僕がこのサーキットを、鈴鹿と比較したんですか?

Q:チームのプレビューで、そう言ってますよ。
角田:いやいや、全然似てないです!

Q:もしかすると、鈴鹿のようにミスを許さないレイアウトという意味かもですね。
角田:ああ、そういうことですか。でも鈴鹿はここほど縁石に乗らないですし、そもそもストリートサーキットじゃないですしねえ。このコメントを言ったときは、機嫌が悪かったのかも! まあとにかく、コース脇に芝生があるという点では、鈴鹿とかなり似ています。チャレンジングでなおかつスリリングで、一歩コースからはみ出すと、その代償はかなり大きい。そこは似ているかも。でも鈴鹿と比べたら、やっぱり全然似ていない。だからこれ以上のコメントはできませんが、とにかく芝生に入らないでラップタイムを最適化するように心がけるつもりです

 鈴鹿とモントリオールを比較したことなど、まったく記憶にないという角田。次戦に向けてのチームプレビューは、多くの場合前戦のレース終了後にチーム広報がドライバーからコメントを聞き取って作成する。スペインでの角田選手はおそらく、5秒ペナルティで12位まで降格したのを知らされた直後のものすごく機嫌の悪い時に、レビュー用の質問を受けたのだろう。

 とはいえAT04に戦闘力が戻ってきているのは実感できているようで、4レースぶりの入賞に自信を見せていた。

Q:今週末、ポイント圏内に戻れる自信はありますか?
角田:そう思っています。レースペースは一貫して悪くないので、そこを最大限に活かすつもりです。今の僕らの大きな課題は一発の速さで、できるだけ上の予選グリッドを獲得する。それが今週のとりあえずの目標です。手応えは感じています。モナコのようなバンピーなコースでも、かなりいいパフォーマンスを発揮できたし。あとは天候ですね。戦略やレースペースに影響を与えるゲームチェンジャーに、確実になるでしょうから

ケビン・マグヌッセン(ハース)、角田裕毅(アルファタウリ),ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
2023年F1第9戦カナダGP FIA会見 左からケビン・マグヌッセン(ハース)、角田裕毅(アルファタウリ),ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 そして今週末はセルジオ・ペレスにとって、レッドブルでの50戦目となる。モナコ、スペインと、直近2戦のペレスはまったく結果を出せず、フェルスタッペンとの差は一気に広がってしまった。

Q:レッドブルでの50戦目、ということはマックスのチームメイトとして50戦目ということになります。ドライバーとして彼から学んだことで、今シーズンの残りの戦いに向けてのリセットに何か役立てられそうですか?
ペレス:マックスは大事な局面で、本領を発揮できる。今年でいえば予選で結果を出しているし、それもあって悪い週末は皆無だ。まさにそこが、僕に必要なことなんだと思う。もうこれ以上、悪い週末を過ごすわけにはいかない。今シーズンは2、3回繰り返してきたそういう週末を解消して、マックスに並ぶ高い安定性をキープしないとね

セルジオ・ペレス(レッドブル)
2023年F1第9戦カナダGP FIA会見 セルジオ・ペレス(レッドブル)

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