レッドブル&HRC密着:トラックリミット違反でQ2敗退のペレス。フェルスタッペンは慎重なアタックを強いられるもPP獲得
セルジオ・ペレスが体調不良でメディアデーを欠席すると広報が発表したのは、F1第10戦オーストリアGP開幕前日の木曜日だった。
「チェコは今日はサーキットに来ません。昨晩から体調を崩しており、今週末のレースに万全の状態で臨むためにホテルで休養をとっています」(レッドブル広報)
レッドブルの広報がこの情報を出す30分前に、ペレスの囲み取材の場所の案内をメディアに送っていたことを考えると、チーム内でも直前までペレスの体調不良は知らされていなかったようだ。
ペレスの体調が改善しない場合に備えて、レッドブルはリザーブドライバーのリアム・ローソンに準備しておくように連絡。ローソンは今年、日本でスーパーフォーミュラに参戦しているが、7月は1戦しかなく、それがF1が開催されない期間のため、ローソンはオーストリアGPから夏休み前のベルギーGPまでの4戦すべてにリザーブドライバーとしてチームに帯同している。またサードドライバーのダニエル・リカルドはオーストリアには帯同していないため、もしペレスの体調が回復しないときは、ローソンがRB19のステアリングを握る予定となっていた。
しかし、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、ペレスの代役を真剣には考えていなかった。ペレスの木曜日の欠席は、週末に備えて大事を取っただけで、決して深刻な病気ではなかったからだ。
とはいえ、金曜日の午前中にレッドブルリンクのパドックに到着したペレスの表情は硬く、まだ体調が万全ではないようだった。フリー走行1回目でもチームメイトのマックス・フェルスタッペンからコンマ5秒遅れの5番手にとどまった。
予選に入ると、ペレスのペースはかなり改善され、Q1ではフェルスタッペンに続いて2番手となり、Q2でも最後のアタックで1分4秒990を出して、一時2番手につけ、復調したかに思えた。
ところが、最後のアタックの最終コーナーでトラックリミット違反をしていたということが発覚。最後のアタックで記録した1分4秒990が抹消され、Q2のチェッカーフラッグが振られた後に2番手から15番手に降格し、Q2敗退となった。
これでフェルスタッペンひとりがQ3に進出することになったレッドブル。チームメイトがトラックリミット違反しているため、フェルスタッペンはいつも以上に慎重にアタックした。
「トラックリミットが心配だったので、あまりリスクを犯すことなく、慎重なアタックを心がけた。特にセクター3は、高速コーナーしかないので簡単にトラックリミット違反する可能性があるので気をつけて走ったよ」(フェルスタッペン)
じつはフェルスタッペンもこの日の予選でQ1からQ3の3つのピリオドで合計4回トラックリミット違反をしていた。幸いそのいずれもアウトラップだったり、最後のアタックではなかったため、結果に大きな影響は与えずに済んだが、いつ違反するかわからない状況にあった。
シャルル・ルクレール(フェラーリ)に1000分の48秒差まで迫られながらも、フェルスタッペンがポールポジションを死守し、今季6回目、通算26回目のポールポジションを獲得した。
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