【角田裕毅F1第11戦分析】ペースを欠いた原因はすでに特定。メカニカル/セットアップに問題があったことを示唆

 

 2023年F1第11戦イギリスGPで予選15番手だったバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が燃料サンプル不足によって失格処分を受けたため、予選17番手に終わっていた角田裕毅(アルファタウリ)のスタートポジションはひとつ上がって16番手となった。

 さらにスタート直後の1周目に、角田はソフトタイヤのグリップ力を活かして、ミディアムタイヤでスタートしていたセルジオ・ペレス(レッドブル)とローガン・サージェント(ウイリアムズ)、そしてハードタイヤを履くニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)をパスして、13番手に浮上。ここからどこまで巻き返すのかが注目された。

【角田裕毅F1第11戦分析】
ソフトタイヤの角田は、スタート直後に3台をパスして13番手に浮上した

 しかし、この日のレースで角田がポジションを上げることができたのは、ここまでだった。6周目にペレスにオーバーテイクされた角田は、14周目にピットイン。ピレリの事前の予想では、ソフトタイヤでスタートした場合のピットストップの目安は11周目から17周目となっていたことを考えると、14周目というのはその範囲内に収まっているように思えるが、その場合のピレリのシミュレーションは第2スティントをミディアムタイヤで走った後、最後にもう一度ピットインしてソフトタイヤに交換するという2回ストップ作戦だった。

 しかし、角田とアルファタウリが立てていた戦略は、ソフトでスタートした後、ハードタイヤに履き替えて、そのままチェッカーフラッグを目指すという1ストップ作戦だった。

 もし1ストップを行う場合、ピレリの想定ではコンパウンドが異なるものの、ピットストップは21周目から27周目が推奨されていた。つまり、角田のピットストップは7周から13周も早かったこととなる。

 実際、角田より先にピットストップしたドライバーはニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)とエステバン・オコン(アルピーヌ)だけで、いずれもマシントラブルやアクシデントという予定外のピットストップだった。

 なぜ、角田は想定よりも早くピットインしなければならなかったのか。

「普通に走ることができなくて、ペースが遅かったのが問題で……。理由はわかっているので、気持ちを次に切り替えてやっていきたい」

 角田が言う「普通に走ることができなかった」というのは、ダウンフォースがまだ足りないということなのだろうか?

「というんじゃなくて、ちゃんとしたクルマで走れなかったので、今回は。それが問題かなと思います」

 その問題とは、マシンに何かメカニカルな問題があったのか? それとも、セットアップの問題なのか?

「どっちもですね」

 しかし、それ以上、角田は問題について明言はしなかった。

 レース後、テクニカルディレクターのジョディ・エギントンは、こう語った。

【角田裕毅F1第11戦分析】
角田のマシンの前に立つアルファタウリのテクニカルディレクター、ジョディ・エギントン

「ここで導入した空力のアップデートはおおむね予想通りだったが、ハースやアルファロメオと戦うには十分ではなく、我々のマシンはどちらもペースが足りなかった。ハンガリーで予定されているさらなる空力のアップデートは、目標達成に向けて軌道修正するための重要なステップとなるだろう」

 完走したなかで2台そろって最後尾に終わった前戦オーストリアGPから1週間。今シーズン最も多くのアップデートを投入して臨んだグランプリで、再びチェッカーフラッグを受けたドライバーのなかでふたりそろって最下位に沈んだアルファタウリ。シーズン序盤にバトルしたマクラーレンやウイリアムズが今回イギリスGPで輝いた分、アルファタウリの影はあまりにも大きく感じてしまう。

【角田裕毅F1第11戦分析】
2023年F1第11戦イギリスGP 角田裕毅(アルファタウリ)

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