F1復帰のリカルドが達成すべきミッションと、角田裕毅やペレスの将来への影響
ダニエル・リカルドがアルファタウリからF1レースに復帰することが決まり、ニック・デ・フリースの短いF1キャリアに終止符が打たれた。今回、レッドブルが、ベテランのリカルドをジュニアチームで走らせることにしたのは、デ・フリースを外すという決定を下したからだが、さらに、傘下のドライバーたちに関する疑問点への答えを得て、2024年のラインアップを確定させるという意図もある。そしてリカルド自身は、2024年のキャリア継続のために、重要な課題をいくつかこなさなければならない。
アルファタウリはこれまでで最も低調なシーズンを送っており、第11戦イギリスGPを終えた時点で、角田裕毅による2ポイントしか獲得できておらず、コンストラクターズ選手権最下位に沈んでいる。そのチームで走ると決めたことは、リカルドがこれまで示してきた考えとは大きく食い違っているように見える。
リカルドは、マクラーレンで力を発揮できずに2年を過ごし、チームから契約を1年早く解除されてしまった。今年レッドブルでサードドライバーを務めてきたリカルドは、F1で上位争いができるチームでレースに復帰したいという意思を示してきた。つまりリカルドは、今回のアルファタウリ加入の先には、大きなチャンスが存在すると考えているのだろう。
レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーとモータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコが、マクラーレンでの時期に躓いたリカルドをレースドライバーに起用すると決めたのは、エンジニアリングチームが、この半年のリカルドのシミュレーターでの仕事ぶりを評価し、7月11日にイギリス・シルバーストンで行われたピレリF1テストタイヤで彼がすぐさま速さを示したからだ。リカルドはレースに復帰してすぐに競争力を発揮すると、首脳陣は確信したわけだ。
リカルドをアルファタウリで走らせることで、レッドブルは彼の力をより正確に把握できる。チームメイトとなる角田裕毅と比較できるため、同時に角田の進歩についても評価する機会になる。今年角田は常にデ・フリースを上回る速さを示してきた。シーズン末までリカルドに勝ち続けたなら、角田の残留はほぼ確実になり、一方で、リカルドの復帰は短いものに終わるだろう。もしリカルドが常に優位に立つようになれば、角田が2024年にシートを失う可能性が出てくる。マルコは、リアム・ローソンや岩佐歩夢といったルーキーの起用を考えるかもしれない。
ローソンにとって、リカルドのアルファタウリ加入はありがたくない動きだ。マルコは以前、レースシートを埋める人材を探さなければならない状況になった場合、一番の候補はローソンだと述べていたのだ。マルコは強い信念を簡単に変えてしまうことがある。今回、大きな打撃を受けたローソンだが、今後のチャンスを完全に失ったわけではない。
レッドブルのセルジオ・ペレスは、リカルドの復帰を警戒すべき立場にある。ペレスは、過去5戦で予選トップ10に入ることができず、2021年にレッドブルに加入して以来、最悪の時期にある。ペレスはチームと2024年末までの契約を結んでおり、彼がもたらしているスポンサーマネーはチームを大きく助けている。それでも彼が今季末で外される可能性はないとはいえない。もしも彼がこのままパフォーマンスを向上させることができず、同時にリカルドがかつての速さが損なわれていないことを証明し、マックス・フェルスタッペンのサポートドライバーとしてペレスより優れているとみなされた場合、レッドブルは2024年のレースドライバーとしてリカルドを選ぶかもしれない。
つまり、ハンガリーGPからリカルドが取りかからなければならないミッションは、3つある。2024年にF1にとどまる資格があると証明すること、角田のベンチマークとして優れたパフォーマンスを発揮すること、ペレスの脅威とみなされること。それをこれから達成する必要があるのだ。リカルドにとって、大きな意味を持つシーズンがスタートする。
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