F1の雨対策パーツの開発が困難な理由。プロトタイプ”スプレーガード”は大きな成果を得られず

 

 F1はウエットコンディションでのレース中断をなくし視界悪化を改善するため、F1イギリスGP後にシルバーストンで”雨用パッケージ”のテストを実施した。 残念ながら、FIAが有力視しているデバイスである後付ホイールアーチのプロトタイプ(一部では非公式にスプレーガードとも呼ばれている)の最初のサーキットテストは成功とはいかなかった。 しかしながら最初の一歩として、またデータ収集とシミュレーションとの相関関係を確認する上では有益な動きであり、少なくともFIAは問題に取り組むための出発点を得ることができた。 FIAシングルシーターディレクターのニコラス・トンバジスは「もちろん、すべてが完璧で、10月くらいの時期に適用できる解決策がすでにあれば完璧だっただろう」と語った。「しかしそうはならなかった。我々はそれを実現するために全力を尽くしている。遅かれ早かれ、レースが中止になるか、それによってレースができるようになるかという違いを生み出すと感じているからだ」 巻き上げられた水しぶきによって視界が悪化し、全くレースができるようなコンディションにならなかった2021年のベルギーGPを受けて、ウエットコンディションでの対策を求める声が大きくなった。 シルバーストンのテストで使われたプロトタイプは、各ホイールの上部を覆うようなフェアリングと、各タイヤ後方の地面に近いところに横向きのバージボードのようなパーツの、ふたつの部分から構成されている。これらのパーツはアップライトに取り付けられ、ホイールと一緒に動く。 テストにはメルセデスも協力し、ミック・シューマッハーが改造したW14に乗り、人工的にウエットコンディションにされたシルバーストンを走らせた。マクラーレンのオスカー・ピアストリは通常のマシンをドライブし、どの程度の水しぶきを上げるのか比較しながら、メルセデスを追いかけ視界への影響をフィードバックした。 この日の主な目的は、マシンによって巻き上げられた水の挙動に関するデータを収集し、FIAの空力チームが実走行データと研究を関連づけるのを助けることだった。 FIAの空力責任者であるジェイソン・サマーヴィルと彼の同僚たちは、水滴のモデリングが容易ではないという壁に直面した。「昨年末にこのプロジェクトを開始し、CFDシミュレーションをかなり行なったが、ただ何かを装着すれば完了というような単純なものではないことはすぐに理解できた」と彼は言う。「CFDシミュレーションは非常に厄介で、水の粒子もシミュレーションしなければならないからだ。水滴がある場合、計算がかなり複雑になる」「さらに、地面から吸い上げられた水の量や、タイヤからの排水量など、完全な知識を持っているわけではないので、相関関係のデータも必要だ」「それに、たとえば小さな液滴の直径がどれくらいなのかも正確には分からない。だからシミュレーションは複雑になるし、相関関係のデータが必要だったんだ」 …読み続ける

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