レッドブル&HRC密着:セットアップがうまくいかず、バランスに苦戦。ターン1出口でスナップし僅差でポールを逃す
開幕10連勝中のレッドブルの前に、F1第12戦ハンガリーGPの予選で立ちはだかったのは、メルセデスのルイス・ハミルトンだった。
最後のアタックで暫定ポールポジションに立っていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を上回って、ハミルトンが2021年サウジアラビアGP以来となる今シーズン初、通算104回目のポールポジション獲得した。
その差はわずか0.003秒だった。ふたりの差を分けたのは、どこだったのか。ハミルトンのほうがフェルスタッペンよりも後にアタックしていて、最後にポールポジションに立ったため、最終セクターで逆転したように見えるが、そうではなかった。
予選後、パドックでアンソニー・デビッドソンと立ち話をしていたら、興味深いことを教えてくれた。
デビッドソンはスカイ・スポーツUKのテレビ解説者のひとりで、予選後、フェルスタッペンとハミルトンの車載カメラの映像を使って、最後のアタックラップを比較していた。それによれば、「マックスはターン1の出口でスナップ(オーバーステア)を発生させて、リヤが流れて、姿勢を保つためにカウンターを当てたんだ。ところが、その場所はDRSのアクティベーションポイントで、カウンターを当てたマックスはDRSのボタンを押すのがわずかに遅れてしまった。このロスが響いて、ターン2を立ち上がったところで、ルイスとの差が大きく開いてしまった」という。
予選後、フェルスタッペンもバランスに苦しんでいたことを認めている。
「フロントとリヤのバランスを取るのに苦労した。セットアップに関してはいろいろ試したけれど、うまくいかなかった。Q3の最後のアタックでは少しだけプッシュしたら、ウインドウから外れて、リヤが流れたよ」
今回、レッドブルが投入したアップデートが機能していなかったのか。フェルスタッペンは「それは理由ではない」と否定した。
デビッドソンは言う。
「ルイスとマックスのそれぞれの区間ベストタイムを見ると、じつはマックスのほうが速いんだ」
確かに区間自己ベストでつなぐとハミルトンが1分16秒570なのに対して、フェルスタッペンは1分16秒373とコンマ2秒も速い。
最後のアタックのターン1の出口でのオーバーステア──ハンガロリンクのポールポジションはそこで決していたのである。
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