【F1ベルギーGP予選の要点】「もっと早くソフトに替えていたらQ3に行けた」悔しさを滲ませるも、納得の表情を見せた角田

 

 雨予報が外れ、強い日差しが射し始めたスパ・フランコルシャン。コース上はまだびしょ濡れ状態だったが、走行ラインはみるみる乾いていく。路面グリップは場所によって、そして周回ごとに目まぐるしく変化する。そんな難しいコンディションのベルギーGP予選で、角田裕毅(アルファタウリ)が完璧な走りを見せた。

 まずはQ1。インターミディエイトタイヤの1セット目のアタックで、総合7番手のタイムを叩き出した。後続ドライバーたちのタイム更新で16番手まで順位を下げたが、2セット目に履き替えると1分59秒044のタイムで4番手につけた。

 最終的には9番手に落ち着いたが、セクター3での最速区間タイムは最後まで破られなかった。ここは8速全開の超高速ブランシモンから2速フルブレーキングのバスストップシケインへと続くセクションで、1セット目のアタックでも区間ベストを叩き出している。角田のブレーキングの巧さが際立った形だ。

角田裕毅(アルファタウリ)
2023年F1第13戦ベルギーGP 角田裕毅(アルファタウリ)

 一方チームメイトのダニエル・リカルドは、オールージュからの上りターン4でわずかにはみ出し、1分59秒483のタイムが抹消されQ1落ちを喫した。15番手でQ2に進んだケビン・マグヌッセン(ハース)が2分00秒020だっただけに、惜しまれるミスだった。

 とはいえ角田にはコンマ4秒差をつけられ、3つのセクターすべてでコンマ1〜2秒遅かった。「AT04の挙動には、すぐに慣れた。運転しやすい」と、ハンガリーで語っていたリカルドだが、ダウンフォースを削り気味のスパに合わせたセッティングで、しかも路面グリップが非常に低い今回のコンディションでは、リヤの不安定な挙動に手こずったのかもしれない。

ダニエル・リカルド(アルファタウリ)
2023年F1第13戦ベルギーGP ダニエル・リカルド(アルファタウリ)

 Q2になると、路面は本格的に乾いていった。まずインターで出ていった角田は、総合7番手タイムをマーク。セッション残り6分40秒でピットに向かい、ソフトに交換。しかしコースインしたのは残り5分のタイミングで、アタックは実質1回のチャンスしかなかった。

 それでも角田はノーミスで1分53秒148を叩き出し、タイミングモニターのトップに躍り出た。セクター3は、またも全体ベストだった。しかし角田の後にアタックを開始したドライバーたちが次々に自己ベストを更新し、順位を下げていった角田は11番手に終わった。

 予選直後のインタビューでは、「もっと早くソフトに替えていたら、Q3に行けていた」と悔しさを滲ませていたが、同時に「ペースはよかった。もし決勝レースがドライになったら、いい戦いができそう」と、語っていた。

 前戦ハンガリーGPでの角田は予選Q1落ちを喫し、決勝レースでも新チームメイトのリカルドの後塵を拝した。しかし「一番悔しかったのは、週末を通じてベストの走りができなかったこと」だった。1週間前とは対照的な今回の晴れ晴れとした表情は、やるべきことをやり遂げたことへの満足感だったのだろう。

角田裕毅(アルファタウリ)
2023年F1第13戦ベルギーGP 角田裕毅(アルファタウリ)

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