ドライバーvsコンピュータ、F1チームはどちらの”意見”を信用するべきなのか?

 

 F1はドライバー同士の戦いというイメージを持っている人もいるかもしれないが、データが大いに重視される。マシンのパフォーマンスは厳密に数値で示されるため、各チームはテレメトリーやデータ分析、シミュレータなどを駆使している。これら大量のデータを遅延なく処理するために、最新式のコンピュータ・システムに、多額に資金を投じている。 マシンがどれだけ変わっても、物理の法則は変わらない。そのため、最適なセットアップを見つけるための鍵となるのは、データに基づいた数字である。そしてコンピュータが進歩するに連れ、扱えるデータは増していく。チームはできるだけ多くのデータを収集し、数値でセットアップを決定する。そのため、セットアップの精度は時々刻々進歩している。 エンジニアとドライバーは、マシンのパフォーマンスを最大限に高め、システムに予期せぬ事態が発生したり危険が起きる可能性を最小限に抑えるべく、コンピュータの指示に従っている。コンピュータが「ノー」と判断すれば、その選択肢が実行されることはない。 しかし2022年にF1マシンのレギュレーションが大きく変更され、グラウンド・エフェクトカーが”復活”すると、コンピュータが弾き出したデータと、実際にコース上を走るために最適な状況の間に乖離が生じ始めている。 その最も大きなものは、昨年話題となったポーパシングだ。コンピュータの計算上では、最大限のダウンフォースを発生させるためには、地面からできるだけ近いところを走った方がいいという結論だった。しかし実際にそれを再現してしまうと、フロア下の空気が抜けたり、詰まったりすることでダウンフォースの発生量が安定せず、マシンが激しく上下動するポーパシングが発生してしまうことになったのだ。 …読み続ける

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