3分で読むF1ココだけの話:不振から抜け出せないペレス、2024年の動向に注目集まる

 

 レッドブルのマックス・フェルスタッペンがF1第18戦カタールGPでドライバーズ選手権3連覇を達成した。レッドブルはすでに第17戦日本GPでコンストラクターズチャンピオンにも輝き、2年連続でシーズン2冠を独占した。

 これにより、2023年のチャンピオンシップ争いはピリオドが打たれたが、ストーブリーグに灯っていた火は熱を帯びてきた。そのストーブリーグでも、いま中心となっているのがレッドブルだ。

 その要因はセルジオ・ペレスの不振にある。今年の第7戦モナコGPの予選でのクラッシュから始まったと思われるペレスの不振は、夏休み前の最後の連戦となったハンガリーGPとベルギーGPでともに表彰台を獲得したことで吹き飛んだかと思われた。

 しかし、アジアラウンドの第16戦シンガポールGPと日本GPの決勝レースでともに複数回クラッシュして表彰台圏外に終わり、1週間前のカタールGPでも相次ぐトラックリミット違反で10位に終わったことで、ペレスが不振から完全には脱出していないことが明らかとなった。

 チームとペレスとの間には、2024年末までの契約がある。ただし、一般的に契約にはパフォーマンス条項があり、その条件を満たしていない場合、チームは早期に契約を解除することが可能となっている。

 昨年のフェルスタッペンの獲得ポイントは454点で、選手権3位のペレスは305点で、その差は149点だった。ところが、今年はカタールGPを終えた段階で209点もの差がついている。

 逆に選手権3位のルイス・ハミルトン(メルセデス)との差は30点まで縮まり、選手権2位の座が危うい状況となっている。

 それでも、チームがペレスに対するさまざまな噂に対して、積極的に発言できないのは、これから北米ラウンドが開始されるからだ。北米ラウンドの初戦アメリカGPが行われるテキサス州オースティンには多くのメキシコ系住民がおり、ペレスにとっては第二の故郷とも言える場所。さらにその次のメキシコシティGPはペレスの母国グランプリ。いまペレスに対して批判的な発言を行うことはチームの利益にならない。

 そこで注目されているのが、レッドブルではなく、ペレスの動向だ。チーム側からペレスの将来に対するコメントや発表は北米ラウンドで行われることはないだろう。しかし、ペレスが自らの進退について何かを発表することはペレスの自由であり、レッドブルが止める権利はない。それはペレスの引退発表だ。

 もし、シーズン終了後にレッドブルが成績不振を理由にペレスとの契約を早期に解除した場合、ペレスには行き場がない。ウイリアムズのシートに1つ空きがあるものの、ペレスがそこに収まるとは考えにくいからだ。そうなると、引退するしかない。

 それならば、最後のホームグランプリとなるメキシコシティGPで地元のファンの前で直接なんらかの発表を行うことは十分考えられる。

 ペレスの動向に注目が集まるのは、もし本当にペレスがレッドブルから離れることになると、ほかのシートにも影響が出てくるからだ。最も大きな影響を受けるのは、姉妹チームであるアルファタウリであることは間違いない。ただし、場合によってはそれ以外のチームのドライバーにも影響が出てくる可能性は否定できない。なぜなら、現在のレッドブルのシートは最も勝利に近いマシンに備わっているからだ。

 そのシートをだれが手にするのか。ペレスがしがみ付いて離さないのか。ダニエル・リカルド(アルファタウリ)が復帰するのか。角田裕毅(アルファタウリ)が昇格するのか。あるいはほかの誰かが電撃移籍してくるのか。

 レッドブルの2024年の戦いは、もう始まっている。

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