ハミルトンらの失格によりF1車検方法に批判も、FIAが反論。無作為抽出の4台中2台が違反でも調査対象を拡大せず

 

 F1アメリカGP決勝でルイス・ハミルトン(メルセデス)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)のマシンが、ランダムに選ばれた検査で不合格となったことで、実は多数のマシンがレギュレーションに反していたが見逃された可能性があるとの推測が持ち上がっている。これに対してFIAは、現状では、すべてのマシンに関してすべての項目で検査することは不可能であり、現在の方法が適切であると主張した。

 レース後、マシン下部のフロアプランクの摩耗のチェックが、ハミルトン、ルクレール、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、ランド・ノリス(マクラーレン)の4台に関して行われ、そのうち2台が不合格となり、ハミルトンは2位、ルクレールは6位を失った。プランクの摩耗が許容レベルを超えていたマシンが、4台中2台あったことで、検査されなかった16台のなかにも、実はレギュレーションに反していたマシンが何台かあったのではないかという疑念が生まれ、5割が違反だったことを踏まえて、FIAは調査対象を拡大すべきだったという指摘もなされている。

2023年F1第19戦アメリカGP 2位でフィニッシュしたルイス・ハミルトン(メルセデス)

 現在のF1では、レース後の車検において、項目によっては、全車ではなく、無作為に選ばれた一部のマシンのみがチェックされる。FIAは、日曜には次の開催地に向けて出発しなければならず、時間が限られているため、今のやり方が適切であると主張した。

「無作為抽出による検査は、毎週末、マシンのさまざまな部分において実施されている」とメキシコGPを前にFIAは述べた。

「このプロセスは、何十年にもわたって実施されてきた。毎週末、全マシンに対して行われる標準的な検査(たとえば、各グランプリ後に全マシンから燃料サンプルを採取する)以外の検査があり、各チームがレース前に、どのマシンのどのエリアが検査されるのかを知らされないことで、レギュレーション順守を確保することを目的としたプロセスだ」

「彼らにとって、マシンのいかなるパートに関してもいつでも検査される可能性があること、技術レギュレーションへの違反が見つかれば厳しい処分が科される可能性があることを意味する」

2023年F1第19戦アメリカGP スタート
2023年F1第19戦アメリカGP スタート

「FIAのF1技術チームは、豊富な経験と大量の情報源やセンサーからのデータを活用し、コンプライアンスのどの側面をチェックするかを決定するための情報を得ている」

「これらの検査を実施する際、グランプリ終了後、膨大な作業が行われる。チームがマシンを分解して次のレースへと輸送するために、彼らにマシンを返却する必要があるため、限られた時間内に行わなければならない」

「広範なチェックが行われてはいるが、短い時間内にすべてのマシンのすべてのパラメータをカバーすることは不可能である。連続開催の週末は特にそうであり(翌週にはメキシコGPが行われるアメリカGPのように)、貨物に関する締め切り時間も考慮する必要がある」

「レース後の車検においてレギュレーションのさまざまな側面にわたり、複数のマシンをランダムに選択するというプロセスに非常に価値がある理由は、まさにそれである。各チームが選択される可能性があることを認識し、規則違反があれば発覚する可能性が高いことを理解している」

 FIAは、グランプリごとに1台のマシンに対して非常に詳細な検査を行っており、この場合は通常は行われない項目についてもチェックしている。このプロセスによって、検査はさらに強化されているともFIAは説明した。

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